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「半夏生」の生える頃 [日刊☆こよみのページ]

□「半夏生」の生える頃
 明日 7/2は半夏生(はんげしょう)。半夏生は七十二候の一つであり、かつ雑節の一つにも数えられています。昔は「半夏半作(はんげはんさく)」といい、この日までに田植えを終えられれば、なんとか平年作の半分の収穫は見込めるという田植え終了の時期の目安となっていました。ただ、「目安となっていました」と過去形で書いたとおり、現代ではこの話は通用しないでしょう。現在の田植えの時期は稲の品種改良によって寒冷に強い早生種が稲作の主流となっているため、半夏生の時期より2か月程早くなっていますので、いかに田植えが遅れたとしてもこの時期というのは流石に考えにくいというのがその理由です。気候や暦の仕組み以外にも、こうした情勢の違いから、伝統行事の意味が分かりにくくなってしまうことはよくあることです。もっとも、「なぜこの日が?」と云った疑問から行事の意味を考えることで、人間社会の変化を垣間見ることが出来るのも、暦の楽しみの一つかもしれませんが(負け惜しみみたいに聞こえる?)。現在では、こうした変化のために実生活での節目としての役割は薄らぎ、その「半夏生」という、ちょっと不思議な名前から「そう言えば・・・」と思い出される日になっています。この日は天から毒気が降り山菜や筍などに宿るため、こうした物をとって食べるのを忌むとか、井戸に毒がしみ込むのを防ぐため蓋をしなければならないといった迷信がありました。流石に今は信じている人はいないと思いますが、そうした慣習は残っているかも知れませんね。

◇「半夏生ず」か「半夏生生ず」か
 七十二候の半夏生の名前は元々は「半夏」という植物が生える(生ずる)ということです。半夏はカラスビシャク(烏柄杓)というサトイモの植物のことです。どんな植物かは、AOKIさんの仮想電子植物園などご覧下さい。

 ※ http://urx3.nu/KOp7 AOKIさんの仮想電子植物園・烏柄杓

 さて、本家の「半夏」はこの植物ですが近頃は、半夏生というと「半夏生」という名前の植物が紹介されることが多くなっています。こちらの姿もAOKIさんの仮想電子植物園を参照させていただきます(↓)。

 ※ http://urx3.nu/KOp9 AOKIさんの仮想電子植物園・半夏生

 こちらはドクダミの仲間の植物です。この植物は夏の頃花を咲かせるのですが、花が咲く頃になると葉っぱの白化現象が起こり、緑色の葉っぱが付け根から半分ほど白くなってしまいます。この白くなったところがまるで白粉を塗ったかのようだということで半分だけ化粧したもの、則ち半化粧(ハンゲショウ)から、この白化現象が起こる時期とその発音との一致で「半夏生」と呼ばれるようになったのだとか。ちょっと笑い話になりそうな話ではあるのですが、確かにこの「半夏生」の姿を見ればわからないでもないと思えます。ただし残念なことにこの半分化粧した半夏生ですが、現在ではあまり見かけることがなくなってしまいました。私が実物を見たのは、神戸に住んでいた時代に、六甲山の自然公園(のような場所)で、沼のほとりに群生している姿を見たのが最後です。

  半夏 と 半夏生

 「半夏生」という植物が無くなってしまうと、今日のような話も書けなくなってしまいます。日刊☆こよみのページの話題のためにも、いつまでも無くならないでいて欲しいものです(あ、「日刊☆こよみのページ」が無くなる方が流石に早いか?)。(「2021/07/01 号 (No.5388)」の抜粋文)

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