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【猿滑り・百日紅・紫薇】(さるすべり) [日刊☆こよみのページ]

【猿滑り・百日紅・紫薇】(さるすべり)
 (幹の皮が滑らかなので猿もすべるの意)ミソハギ科の落葉高木。中国南部の原産。幹は高さ数メートル。平滑でこぶが多く、淡褐色。葉は楕円形で四稜のある枝に対生。夏から秋に紅色または白色の小花が群がり咲く。日本で庭木として古くから栽培。材は緻密で細工用。ヒャクジツコウ。サルナメリ。夏の季語。 ≪広辞苑・第六版より抜粋≫

 暑さ厳しく、人間も草木もうつむき勝ちになる夏の昼下がりに元気いっぱいに咲くのがこの百日紅。花期が長く、百日も花が続くことから百日紅と書き表されます。百日紅の「紅」はこの色の花が主だからでしょう。ただ、花の色については変異が多くて濃紅、紅紫、淡紫、白などいろいろあるので「紅」ばかりではありません。一つ一つの花は朝開いて夕方には散ってしまう一日花で、朝になると前日に咲いていた花がこの木の下の地面に散り敷かれている様を見ることが有ります。丈夫で、手入れも楽なのか、街中の街路樹としても見かけることが多くなりました。その名が、「猿も滑る」からきているといわれるとおりで、幹がツルツルしていて、おまけに下枝があまりないので、登り難くそうな木です。しかし、サルでも滑って登れないなんていうと、おかしな連中の挑戦者魂に火を付けてしまうのですよね。その昔、「像が踏んでも壊れない」というキャッチフレーズで売り出された筆箱、筆箱といっても入れるのは鉛筆ですが、がありました。遠い昔の記憶によれば、確かに筆箱を像が踏んでいるテレビコマーシャルがありました(白黒映像だったような・・・)。確かに丈夫だったのでしょうが、このキャッチフレーズのおかげで、象が踏んでも壊れない筆箱を、何とか壊してみようという悪童たちを多数出現させ、そしてその悪童たちによって多くの筆箱が壊されたことがありました。私も「壊してみたい」という悪の誘惑に駆られた一人でしたが、幸いその筆箱が身近になかったので、幸いにも悪の道に踏み入れずにしみました。筆箱破壊の衝動は、幸いにもそれを実現する環境が整わないことによって歯止めがかかりましたが、「猿も滑って登れない」という猿滑りの名前の挑発には勝てませんでした。なぜなら、通っていた小学校の裏の墓地に、立派な猿滑の木があったから。結果はというと・・・肝心のところの記憶があいまいです。ちょっとは登れたかもしれませんが、制覇までは出来なかったのかな?猿滑りの木完登の朝鮮の結果は定かに覚えていないのですが、幾度か戦ったこの木のツルツルした他の木とは全く違った樹皮は、子供心にも不思議だったことだけはよく覚えています。あの木、まだ生きているかな?

◇「サルスベリ」の別名
 百日紅にはまた、「くすぐりの木」、「こちょこちょの木」という別名があります。これは幹が震動を伝えやすい性質で、幹を指でくすぐると枝の先の花や葉までが笑うように揺れ出すことに由来するそうです。本当に笑い出すかどうか、この木を見かけたらこっそりくすぐってみることにしましょう。この木の別名と言えばもう一つ、「なまけものの木」というものもあります。この有り難くない名前は、この木にはほんの短い期間しか葉がつかないからだそうです。木にしてみれば、短くても十分に栄養を作り出すことが出来ているわけでしょうから、なまけものの木なんていわれる筋合いはないと怒ってもよさそうなところですがどうでしょうか。「本当に失礼しちゃうわ」なんていいながら、くすくす笑い出すのがサルスベリかもしれませんね。今年は一際暑い夏ですが、そんな熱い中でも平気な顔して赤紫色の花を咲かせているサルスベリを見ると、少しだけ暑さが薄らぐようなきがします。(「2018/07/31 号 (No.4322)」の抜粋文)
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ドッグデーズ(Dog days) [日刊☆こよみのページ]

□ドッグデーズ(Dog days)
 和英辞典で「土用」を引くと【土用】(the) dog days. 《研究社和英中辞典》

 英語にも「土用」のような概念を表す言葉があるんですね。でも何で土用が dog days なのか?ちょっと大きめの英和辞典で dog days を引いてみると次のような説明があります。

  【dog days】
   暑中、盛夏。Dog Starが太陽と共に出没する 7月 3日ごろから 8月11日
   ごろまでの期間。沈滞(停滞)期。【Dog Star】天狼星。Sirius(シリウス)
     《研究社新英和大辞典》

 この説明からすると太陽がシリウス(おおいぬ座α星)と共に空に昇る期間を盛夏の時期として慣用的にそう呼ぶようです。土用は土用でも夏土用だけを指す英語ですが、まあ日本でも今は土用といえば夏土用だけを指すようになっていますから、dog daysは土用の英語表現といってもよさそうです。

◇どうして、シリウスと太陽が一緒だと暑いのか?
 さて、Dog Starが太陽と共に出没する期間 = 暑中、盛夏なのかですが、これはこのDog Star(シリウス)がどんな星かを考えると何となく分かる気がします。シリウスはおおいぬ座α星で、冬の星。おおいぬ座はオリオン座のちょっと後ろからオリオンにくっついてくる星座です。オリオン座の近辺は明るい星が多くて賑やかなのですが、その中でも一際明るく他を圧するような光を放つ星が Dog Star 、シリウス。全天の恒星の中でもっとも明るい星(おっと、太陽は除外)です。このシリウスの名はギリシャ語で焼き焦がすもの・光り輝くものを表す言葉(Seirios)から生まれたものです。つまりこの「焼き焦がすもの」という名を持つ星が太陽と同時に空に昇って大地を焦がすのがこの dog days の期間ということなのですね。

◇7/3頃から8/11頃まで?
 さて、こう考えてくると、太陽とシリウスが同じ方向にある時期という 7/3~8/11ですが、こんな風に幅があるということは、太陽とシリウスがぴったり一致するのはこの期間のちょうど真ん中かと思い、確認のために計算してみました。違っていました。太陽とシリウスの位置が一致する(赤道座標の赤経の一致する位置と考えました)日を計算してみると、これは大体 7/2頃。ちょうど辞書の説明にあったdog daysの期間の始まりの頃です。なるほど、このdog daysは、日の出の直前にシリウスが地平線から昇る様子が見える時期だと言うことのようです。計算などではなくて、実際に日の出直前の空を眺めた昔の人たちの実体験から生まれた言葉なんですね。

◇これはひょっとして?
 土用から始まって、dog daysの期間の話に進みましたが、ここまで進んでふと思ったことがあります。dog daysの期間の始まりの日が日の出直前にシリウスが昇る日らしいと書きましたが、これはエジプトで暦の起点とされた「シリウスの日出直前出現(ヘリアカル・ライジング,Heliacal rising)」そのものではないですか。暦の成り立ちと密接に関係した太陽とシリウスの関係が、英語の土用に相当する言葉にも何か関係するのか?考えてみないといけない話ですね(老後の楽しみになるかも)。(「2018/07/29 号 (No.4320) 」の抜粋文)

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桐始めて花を結ぶ [日刊☆こよみのページ]

□桐始めて花を結ぶ
 現在は、七十二候の一つ、「桐始めて花を結ぶ」(7/23 ~ 7/27)の時候です。七十二候は二十四節気をさらに細分化したもので、「桐始めて」は大暑の初候、七十二候全体では三十四番目にあたるものです。

◇桐の花?
 「桐始めて花を結ぶ」と有ります。桐の花といえば、薄紫色のきれいな花で、 5月頃に咲くものです。その桐が今頃「始めて花を結ぶ」というのはどうも変ですね。七十二候は元々は中国で生まれたもので、それが輸入されたものですから中には日本の風土に合わないものもあって、そのため日本に入ってから何度か日本風の七十二候が作られており、こうしたものを「本朝七十二候」などと呼びます。日本生まれの七十二候という意味ですね。今回採り上げた「桐始めて花を結ぶ」も本朝七十二候の一つ。江戸時代の初期に作られた貞享暦(じょうきょうれき)から採用されています。中国直輸入の七十二候であれば、中国と日本の風土の違いで説明をつけることも出来ますが、本朝七十二候と言うことならそういうわけには行きません。江戸時代とでは気候が違う・・・ともいえませんからね。なんだか変なこの言葉の謎は、何のことはない「桐」の違いでした。桐は桐でもこの桐は梧桐(あおぎり)。桐とは違う植物なのでした。

◇梧桐
 梧桐は青桐とも書きます。その名の由来は若い木は大きくなってもその幹が緑色をしていることからだといわれます。その大きな葉っぱは確かにどことなく桐の葉っぱに似ていなくもありませんので、梧桐と呼ばれるようになったようですが、植物学的な分類では全く別の植物で、桐の仲間ではないそうです。肝心の花の咲く時期ですが、現在はだいたい 6~ 7月頃。これもちょっとずれているようにも思えますが、まあ誤差範囲でしょうか?梧桐は生命力旺盛で、伐られても切り株から蘖(ひこばえ)となってすぐに成長を始めるほどで、庭木や街路樹に使われることがありますので、皆さんも身の回りを良く見回せばこの木を見つけることが出来ると思います。いまは、「桐始めて花を結ぶ」時期なので花も見えるはずですが、花は白く小さく、あんまり花という感じの花では有りませんし、背の高い木では大きな葉っぱの陰に隠れてしまって目立たないかもしれません。「梧桐ってどんな植物?」と言う方は・・・ググッて(インターネット検索して)ください。

◇それでも気になる季節のずれ?
 桐始めて花を結ぶの桐が、梧桐だと言うことでひとまずは問題解決ですが、それでもちょっと気になります。梧桐の花の咲く時期は現在はだいたい 6~ 7月頃。「始めて花を結ぶ」と言うには今の時期は遅すぎるような気がしませんか? (それは、新暦と旧暦の差では・・・なんて言わないでくださいね。二十四節気や七十二候は、太陽の位置に基づいているので、新暦も旧暦も関係ありません)もしかしてと思うことは、この言葉が採用された貞享暦が生まれた時期は、天文学上ではマウンダーの極小期と呼ばれる時期に一致することです。マウンダーの極小期とは、AD1645~1715年の太陽黒点数が極度に少なかった時代のことで、この期間は地球全体の気温が低下した時代だとされています(「マウンダーの小氷期」と呼ばれることもあります)。もしかして、今より寒かったこの時代、本当に梧桐の花の咲き始める時期は今頃だったのかもしれませんね。(「2018/07/26 号 (No.4317) 」の抜粋文)

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夏土用 [日刊☆こよみのページ]

□夏土用
 本日は夏の土用の入りです。土用は四季それぞれの間に挿入された期間で、年 4回有ります。今回の土用は、夏と秋の間の土用。夏の終わりの土用なので、夏の土用と言います。今回の土用は、7/20~8/6 の18日間。また夏土用と言えば土用の丑の日を思い出しますが、この間の「丑の日」は7/20,8/1の二回です。ちなみに現在の土用入りの定義は、太陽中心の視黄経(しこうけい)で決まっており、以下のようになっています。

  春:27° , 夏:117° , 秋:207° , 冬:297°

 今日は夏土用の入りなので、今日のいつの時間にか太陽の視黄経がこの角度になる瞬間が来るはずです。

◇土旺用事(どおうようじ)
 土用はもともと、土旺用事(どおうようじ)と言ったものが省略されたものです。「旺」は「さかん」という意味があります。土用の「土」はもちろん五行説(ごぎょうせつ)の土気を表しますから、土用は「土気の旺盛な時期」と言うことです。この土気の旺盛な時期には、土公神(どくじん)という神様がさかんに働く時期だと言うことで、この土用の間に土をいじりまわすと、この土公神を傷つけることになり、怒りを買ってしまいますので、土を掘り返すような行為を慎まなければならない時期とされています。土用の期間、どんなことをしてはいけないと考えられているかと言えば、
井戸を掘ること、建物の基礎工事、壁塗り、農耕などなど「井戸掘り」は現代は少なくなっているでしょうが、現代なら替わって下水道工事などがこれにあたるでしょう。江戸の昔には絶対になかったでしょうが、きっと「地下鉄工事」なんていうのもダメなんでしょうね。まあもちろん迷信では有るのですが、でも迷信てその業界関係者の間には一種の業界内慣習として根強く残っていることが有るようで、こよみのページにも時折、水道工事などを行う会社の方から土用の期間や、土用の間日(まび)などの問い合わせがあります。

  ※土公神・・・陰陽道の神で土を司るとされている。


◇土用の間日
 土用の間日と書きましたが、これは何かというと、迷信にも抜け穴があるようなものです。だいたい土用の期間というのは1回に18日程度ありますから、この期間中土を掘り返しちゃいけないといったら、畑の農作物だって枯れてしまうかもしれませんし、壁の塗り途中で放置されては、新築の家だって、完成した時点で傷んでいそうですよね。こうしたことを今より気にした昔の人たちだって、こんなに長い期間では困るので、時々土用にも「休み」の日を作っています。それがこの間日です。この土用の休みの日は、例の土公神様が文殊菩薩に招待されて天上に昇っている日とされます。鬼の居ぬ間に洗濯ではありませんが、土公神様が地上にいない間なら土を動かしてもいいというわけです。それにしても、陰陽道の神である土公神を文殊菩薩が招待するって、なんだか不思議な関係。「こじつけ」って言われても仕方なさそうですね。ちなみに、今年の夏土用の間日は、7/22,23,27, 8/3,4の5日間です。他の年の間日の計算や、間日の計算方法を知りたい方は、

  http://koyomi8.com/sub/doyou.htm (土用と間日・丑の日計算)をご覧ください。

◇夏土用と健康管理
 夏の土用は、一年でももっとも暑い時期で、この間が「暑中」ですね(他に、小暑~大暑の間だされる場合もあります)。土用はこのように猛暑の時期なので、昔から健康管理のための食養生の習わしがあります。もっとも有名なのが「土用の丑の日のウナギ」ですが、ほかに、土用餅、土用シジミ、土用卵・・・のように栄養価の高い食物を食べて夏を乗り切ると行った風習が各地に残っています。食物ではありませんが、「土用灸(どようきゅう)」といって、お灸をするとよく効くとも言われます。いずれも「健康管理に気をつけましょう」といった意味でしょうね。皆さんも暑い夏、健康管理にはくれぐれもご注意を。

 【関連記事】
  土用丑の日(ウナギの日?) http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0700.htm
 
                        (「2018/07/22 号 (No.4313)」の抜粋文)
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【猛暑日】(もうしょび) [日刊☆こよみのページ]

【猛暑日】(もうしょび)
 1 日の最高気温がセ氏35度以上の日。《広辞苑・第六版》

 ここのところ、連日暑い日が続いております。「本日は猛暑日となりました」というニュースがここ数日、各地から届きます。昨日は、岐阜県では40℃を超えたとか。暑さは平気な方なのですが、さすがにこれほどになると・・・。大変な暑さですね。最近頻繁に耳にするので「猛暑日」という言葉は昔からあったと思っていたのですが、気象庁がこの言葉を使うようになったのは2007年から。2007年4月1日に行われた予報用語の改正で、日最高気温が35℃以上の日のことを「猛暑日」と制定しました。ずっと以前から聞いていたように思う言葉ですが、天気予報などに登場したのは、案外最近のことのようです。ちなみに、利用している広辞苑では、「猛暑日」は第五版にはなくて、第六版になって追加された言葉。やはり、新しく使われるようになった言葉のようです。日本体育協会の「熱中症予防指針」では35℃を超える気温では「運動は原則中止」とされているそうです。ああ、この暑さで運動をしたいと思う人は、かなり少数でしょうが(私は、ひょっとしてこの少数派かも知れません)。運動に限らずこんな気温になったら、屋外での作業なども控え、涼しい場所で十分な水分をとりつつ休息することが肝心。判っていても仕事でそう言うわけには行かないという方もいらっしゃるでしょうが、くれぐれも水分補給&ミネラル補給をお忘れ無く。(「2018/07/19 号 (No.4310) 」の抜粋文)
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暑い季節の始まり・三伏の候 [日刊☆こよみのページ]

□暑い季節の始まり・三伏の候
 今日は、暑さの厳しい日とされる三伏(さんぷく)の始め、初伏の日です。梅雨が明けて(あるいは、間もなく明けて)今年もいよいよ「真夏」がやって来ました。「三伏」はそうした暑い時期を呼び表す言葉の一つで、この期間に含まれる暑い時期を三伏の候などとも呼びます。この三伏の候という言葉を日常に使うことは希だと思いますが、暑中見舞いの文面に織り込んで使うことは、今でもあるのではないでしょうか。三伏には「初伏・中伏・末伏」の三つがあります。それぞれの日付は

  初伏 ・・・ 夏至以後、三度目の庚の日
  中伏 ・・・ 夏至以後、四度目の庚の日
  末伏 ・・・ 立秋以後、最初の 庚の日

 として計算するのが一般的です(こよみのページではこの方法で計算しています)。計算方法についてはこの方法の他に、次のような方式も在ります。

 ・別法1
  初伏 ・・・ 夏至以後、三度目の庚の日
  中伏 ・・・  〃  、四度目の庚の日
  末伏 ・・・  〃  、五度目の庚の日

 ・別法2
  初伏 ・・・ 小暑以後、一度目の庚の日
  中伏 ・・・  〃  、二度目の庚の日
  末伏 ・・・  〃  、三度目の庚の日

 それぞれの方式で今年(2018年)のそれぞれの日付を計算すると

 ・標準方式: 初伏 7/17 , 中伏 7/27 , 末伏 8/16
 ・別法1 : 初伏 7/17 , 中伏 7/27 , 末伏 8/06
 ・別法2 : 初伏 7/07 , 中伏 7/17 , 末伏 7/27

 となります。上記の日付からすると今日7/17は、どの方式で計算しても三伏の一つとなります(初伏かあるいは中伏)。

◇三伏の日の意味
 三伏の日というのは中国古代の五行説(ごぎょうせつ)から生まれた暦注の一つで、この日は季節の性質と日の性質が合わず、ギクシャクした(調和のとれない)日だと考えられました。季節の性質と日の性質とはなにかですが、季節はといえば言わずと知れた夏。夏は五行説では「火」の性質を持つ季節です(大変分かりやすい解釈)。次に日の性質ですが、これは上記三伏の日付計算に「○○の庚の日」と書いた「庚(かのえ:金の兄)」がそれを表します。

  庚の日 = 金の兄の日

 「兄」は陰陽説で陰陽を表す「兄」「弟」の「兄」で、強いとかはっきりしたということを意味します。つまり「金の兄」といえば、「金」の気が強くはっきりした日と言うことになります。五行説ではそれぞれの気の間に仲のよくない関係を示す「相剋(そうこく)」という考えがあります。「剋」は「かつ」とも読まれます。例えば、水と火は仲が悪く、水は火を消す作用があるから

  水剋火(すいこくか) = 水は火に剋(かつ)

 という具合です。三伏の日は季節は「火」で日は「金」。これは

  火剋金(かこくきん) = 火は金に剋(かつ)

 です。「金」は金属を表す言葉ですが、金属は火に当たると溶けてしまうから火は金より強い、金の気からすると火の気は苦手な相手なのです。「金」は季節では「秋」を示す気とされています。つまり三伏の日は秋の気を表す「金」の気を胎蔵した日であるにも拘わらず、その気が夏の「火」の気に圧倒されてしまう日と言うことになります。まあ、確かに三伏の時期は金属も溶けてしまうのではないかと言うくらい暑い季節ですから、なるほどという気がします。この「金気」を融かすほど暑い時期であることから、「三伏の候」といえば暑中の候の意味で使われるようになりました。さて、「梅雨も明けたことだし、そろそろ暑中見舞いでも書くか」と思っているそこのあなた、その文の中に「三伏の候」という言葉をさらりと入れてみるのは如何でしょうか?(「2018/07/17 号 (No.4308)」の抜粋文)

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【一粒万倍】(いちりゅう まんばい) [日刊☆こよみのページ]

【一粒万倍】(いちりゅう まんばい)
 [報恩経 4「世間利を求むる、田を耕す者に先んずるは莫(な)し、一つの種万倍となる」]
 1. 少しのものがふえて多くの数になるたとえ。少しだからといって粗末にはできない、
  の意にも。<日葡辞典>
 2.稲の異称。
    《広辞苑・第六版》

 暦の暦注の一つに「一粒万倍日」というものがあります(本日も)。その日行ったことは万倍の結果となって返ってくる日とされ、商売を始める場合などにはよい日だと考えられるようです。ただし、「結果が万倍になって返ってくる」ということは、借金などしたらこれは大変だという日でもありますから、そちらの方面はお気をつけて。「一粒万倍」は稲の異称でもあります。今は、稲がすくすくと育って田んぼ一面が緑の海に変わっている頃。一粒の籾(もみ)から始まったこの稲が万倍の実りを結んでくれることでしょう。春から八十八の手間を掛けて育ててきた稲が万倍の収穫となってその手間に報いてくれる秋まではまだしばらく間があります。この間には、折角実った稲を台無しにしてしまう日照りや嵐もあるでしょうから、まだまだ農家の皆さんは安心できないでしょう。一粒万倍日の今日はただ、一つの籾から始まった稲に万倍の実がつき、収穫出来るようになることを祈りましょう。(「2018/07/13 号 (No.4304) 」の抜粋文)
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カボチャ、収穫しました! [菜園便り]

今年はカボチャの葉が枯れるのが早い!出来具合(量、質)が気になりましたが、
9割方、穫りました。栗カボチャ、ミニカボチャ、白カボチャです。
種が混じっていたのか、ラグビーボールのようなカボチャも穫れました。味はどうでしょう?


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穫ったすべてのカボチャ 例年より数が少ないです。


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栗カボチャ 糖度が高く日持ちしない


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ミニカボチャ 小さめの栗カボチャ 糖度が高く日持ちしない


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白カボチャ 日が経つと甘くなる 保存性高い 冬至の頃まで保ちます


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名無しさん どんなカボチャでしょう 味見するのが楽しみです

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【洗車雨】(せんしゃう) [日刊☆こよみのページ]

【洗車雨】(せんしゃう)
 陰暦七月六日の雨。一説に七月七日の雨。牽牛が織女との逢瀬のために乗る牛車を洗う水が、雨になって降るという言い伝えがある。《小学館『雨の名前』より》

 七夕の夜は天の川の東の岸に住む牽牛と、西の岸に住む織女に一年に一度だけ逢瀬が許される夜。二人はこの夜に、二人を隔てている天の川に架かる鵲(かささぎ)の橋を渡ります。洗車雨は牽牛が牛車を洗う水の雨。一年一度の逢瀬のためとあって、牛車を洗う牽牛の腕にも力が入ることでしょう。洗車雨の説明には「陰暦七月六日の雨」とありますが、新暦に日付によって七夕が祝われることが多くなった昨今ですから、この行事にまつわる洗車雨という言葉だけを陰暦の日付でというわけには行かないでしょうから、そろそろこの説明からも「陰暦」は取り払い、「七月六日の雨」だけとした方がよさそうです。陰暦の文字を取り払って、現在のカレンダーで七月六日、七日という日付を眺めると、この時期は日本の多くの地域は梅雨の真っただ中。洗車雨の降る回数も増えそうです。今日、七月六日の朝も日本の多くの地域では強い雨が降っているようです。私の住む街も御多分に漏れずで、折り畳みの傘では心もとないほどの雨が降っています。どうやら今日一日は雨が降り続きそう。一年一度の織女との逢瀬を明日にひかえて力の入る牽牛の気持ちもわかりますが、洗車も程々にしないと肝心の明日の夜まで雨となってしまいます。出来れば、一日中牛車を洗い続けた牽牛の努力が報われて、明日は見事な鵲の橋が、夜空にかかりますように。(「2018/07/06 号 (No.4297) 」の抜粋文)
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【南風】(はえ) [日刊☆こよみのページ]

【南風】(はえ)
 (主に中国・四国・九州地方で)みなみかぜ。おだやかな順風。夏の季語。〈日葡辞書〉《広辞苑・第六版》

 「はえ」はとても古い言葉だそうです。広辞苑がこの言葉の出典としている日葡辞書は1603年に刊行された辞書ですから、少なく見積もっても 400年以上は使われ続けている言葉ということになります。南風(はえ)は主に西日本で使われる言葉で、南から断続的に吹く、あまり強くない風の呼び名です。ところによっては「はい」「みなみ」という呼び方もあるようです。南風はあまり強くない風とはいいながら時には荒南風(あらはえ)と呼ばれる強い風となって海で働く人達を泣かせることもあるのだとか。人も風も、穏やかな時ばかりではないということですね。

◇梅雨と南風
 梅雨の頃に吹く南風には、色のついた特別な名前の南風があります。黒南風(くろはえ)と白南風(しらはえ)です。黒南風は梅雨入りの頃に吹く穏やかな南風で南の海から、暖かく湿った空気と雨雲を運んで来ます。これに対して白南風は梅雨明け間近に吹く風です。同じ南風ではありますが、白南風が運んで来るものは黒南風の雨雲ではなく夏の空に浮かぶ白い雲です。七月に入り、日本全国で梅雨が明けるのも間近だろうと感じられるこの頃。南風の色は大分白に近づいてきていることでしょう。(「2018/07/04 号 (No.4295) 」の抜粋文)

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