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「乃東枯る」の季節 [日刊☆こよみのページ]

□「乃東枯る」の季節
 七十二候、夏至の初候は「乃東枯る」。これで、「だいとう かるる」と読みます。2019年では 6/22~26がこの期間となっていますから、今日がその期間の最後です。これは忘れずに書いておかなくちゃ。さて、ご存知の通り、七十二候は二十四節気をさらに細分化したもので、その名のとおり一年を72の時候に分けたものです。365日を72に分けたわけですから、その1つの期間の長さはおよそ5日。こよみのページでは、基本的に二十四節気を定気法という太陽の位置を黄道座標の経度、黄経で15°毎に分ける方式を用いています(現在、一般的に使われている方式)ので、この二十四節気をさらに3分し、細分した七十二候も、この角度による分割法を用いています。15°を3分しますから、その角度は5°間隔ということになります。

◇「乃東枯る」とは?
 七十二候は、日常目にする動植物の様子を採り上げたものが多くあります。動植物の育つ様子や行動によって季節の変化を示しているのです。本日採り上げた

  乃東枯る(だいとう かるる)

 もこうしたものの一つ。ただ、日常目にする動植物で「乃東」といわれても、ピンとくるものが無い
 のではないでしょうか? 枯れるということは植物かな???この、なじみのない「乃東」って何でしょう。

  乃東 = ウツボグサ(靫草)

 さて、この謎の乃東ですが、その正体はウツボグサ(靫草)です。ウツボグサは別名「夏枯草(カコソウ)」といいます。この別名をみれば、なるほど夏には枯れる草です。そう言われても名前だけではピンと来ない方は、写真を掲載して下さっているサイトが沢山ありますのでご覧下さい。紫色のきれいな花です。

 → http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/utubogusa.html

 みればなるほど。田舎で生まれ育った私は子供の頃から、日当たりのいい田んぼの畦や草地でこの花を毎年見ていましたので、確かになじみのある植物。ただし子供の頃にこの植物が「乃東(だいとう)」なんて呼ばれることは知りませんでしたけれど。この花の花期は 6-8月頃。それを過ぎると花は枯れ、黒色化した花穂は夏枯草(かこそう)と呼ばれるようになります。夏の盛りで周囲の植物が青々と茂る中に花を終えて枯れてしまうように見えるため、この植物は夏枯草と呼ばれるようになったのでしょう。また、こんな風に他の植物とは違った季節変化をすることから物珍しく、七十二候に取り入れられたものと考えます。私の感覚からすると今はまだウツボグサが枯れるにはちょっと早過ぎる時期のようにも思いますが、気の早いウツボグサはもう枯れているのかな?田んぼの畦道や、草地を散歩する贅沢が出来る方は、その足元にこの乃東が咲いている、あるいは枯れているかもしれません。注意してこの花を探してみてください。

※ウツボグサの写真は、「植物園へようこそ!」

 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/BotanicalGarden-F.html

 のものです。(「2019/06/26 号 (No.4652)」の抜粋文)

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【男梅雨】(おとこ づゆ) [日刊☆こよみのページ]

【男梅雨】(おとこ づゆ)
 ザーッと烈しく降ってはサッと止むことを繰り返す明快、陽性型の梅雨。一時代前の快男児のイメージ。《雨の名前 (著者 高橋順子・佐藤秀明)より》

 来る日も来る日も雨が降り、手には傘を持ち、足には長靴という出で立ちで学校に通う、それが私の中での梅雨の風景です。子供の頃暮らしていた場所はずいぶんと田舎でしたから、小学校の 6年間、通った道は未舗装。雨が続く梅雨の頃にはあちこちに水たまりのできる片道 2kmの道を、水たまりを選ぶようにしてザブザブ歩いて通っておりました。そのころの印象が余程強かったのか、もうかれこれ40年がすぎても、梅雨といえば、このころの光景が浮かんできます。それもなぜか、足下の水たまりのことばかり。40年(50年かな?)の昔に私の脳裏に定着した梅雨というのは、こんな具合で連日雨の降る季節でしたけれど、今年(2019年)の梅雨はというと、降るときには強い雨がザーッと降り、その強い雨が降る時以外は、案外と雨の少ない梅雨のようです(まだ終わっていませんけれど)。『雨の名前』の説明によれば今年のような梅雨を「男梅雨」と呼ぶのでしょう。一昔前の快男児のような梅雨ですか。さて、今朝の天気は?今日も一日傘が手放せないような天気のようです。あまり元気な雨でないといいのですけれどね。(「2019/06/24 号 (No.4650) 」の抜粋文)
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腐草蛍となる(2019) [日刊☆こよみのページ]

■腐草蛍となる(2019)
 今日、6/11(2019年)は立春の初候「東風凍を解く」から始まる七十二候の26番目となる「腐草蛍となる」の始まりの日です(終わりは6/15)。「腐草蛍となる」とは、まるで蛍は腐った草が変じて生まれるような感じ。アリストテレスの自然発生説みたいですね。まあ、夕方に、積み重なった腐草のある辺りから昨日まで見ることが無かった蛍が飛び交う姿を見れば、大昔の人達が「蛍は腐草が変じたもの」と素朴に思ったとしても、無理からぬところでしょう。

◇生物季節
 桜の開花日情報などで知られるように、全国の気象台ではその地域に生育する幾つかの動植物の開花や紅葉、初見や初鳴きなどの「生物季節」を観測し記録しています。蛍の初見もこうして観測される「生物季節」の一つの指標です。生物季節の指標は、桜のようにほぼ全国共通の生き物を使う場合もあれば、そうでないも場合もあります。生き物のことですから、その生育する場所が異なるため、何もかも全国一律というわけにも行かないわけです。では蛍の初見はどうかというと、これはほぼ全国で共通に観測される項目となっていましたので、全国の蛍の初見日を集めれば桜の開花前線のような、「蛍前線」を日本地図の上に描くことが出来ます。

◇蛍の初見前線
 気象庁のサイトを探せばきっと「蛍の初見前線」的な地図が見つかるはずと思ったのですが、上手く見つけることが出来ませんでした。でも、やはり蛍の初見前線図はありました。見つけたWeb のページはこれ。

ホタル百科事典/ホタルに関する調査研究レポート
http://www.tokyo-hotaru.com/jiten/report16.html

 ここに、期待したような地図がありました(1971~2000の平均値の図)。蛍の初見日の変化に見る温暖化の影響についての考察(蛍の初見日についてみると影響は見られないという結論でした)まであって、ためになるページでしたので、皆さんもお時間があればご覧下さい。さて、このサイトの図を見ると見ると蛍の初見日の前線は5/20頃に九州地方に上陸し、順調に北上し、私の住んでいる辺りは6/10頃。東京を6/20に通過して7/20頃に終着地点の東北北部に到着するという具合のようです。また、同じサイトには気象庁の生物季節観測累年表(ホタル)の1953年~2007年のデータか71箇所を地方別に分類し、地方毎の蛍の初見日の変化をグラフに下ものも掲載されて、これを見ると関東地方の蛍の初見日は5/22頃~7/1頃 その中間値は大体6/11頃ですので、七十二候の「腐草蛍となる」はかなりいい線いっているようです。なお、日本の暦と言えば長いことその基準となる場所は京都でしたから、関西地方のグラフも見ると、5/15頃~6/11頃。七十二候の日付は、ちょっと遅いかな?まあ、皆が皆気象庁の観測者のように目を皿のようにして蛍の初見日を観察しているわけではないでしょうから、七十二候の日付がこのグラフの初見日よりちょっとくらい遅れても、誤差の範囲と言えそうです。なお、このサイトの記事を読むと、近頃騒がれる温暖化や異常気象の影響は蛍の初見日については、あまり影響がないようです。さて、本日は七十二候の「腐草蛍となる」の時候の始まりの日と言うことでこの暦の上の日付と蛍の初見日を見てみましたがいかがでしたか?そろそろ皆さんの住む場所でも、腐草が蛍に変じて飛び交い始めているかもしれませんね。(「2019/06/11 号 (No.4637)」の抜粋文)

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薬降る日 [日刊☆こよみのページ]

□薬降る日
 朝の天気予報によれば本日は雨。その上、東京も今日で梅雨入りしそうだとか。もうそんな季節なのかと外を見ると既に空はどんよりとした雨雲に覆われていつ降り出してもおかしくない様子。確かに、今日の天気は雨のようです。そんな今日の日付は旧暦では五月五日。端午の節供の日です。端午の節供と雨ということで思い出したのが「薬日」の話。そんなわけで、本日は薬日にまつわる話です。

◇端午の節供は魔の降る日?
 端午の節供に降る雨をさして、「薬降る」ということがあります。旧暦の五月は雨の月。湿度も高くて、じめじめしていて物が傷みやすい月、黴びやすい月です。このためでしょうか、旧暦五月は「悪月」とも呼ばれました。なにがこの月を「悪月」に仕立てるのかと考えれば、きっとそれはこの時期に降り続く雨だと考えたのに違いありません。雨は天から降ってきます。その雨が「悪月」を作り出すのだとすれば、それは「魔」が降っているのだとも言えるでしょう。端午の節供はそうした魔の降る日だったのです。悪月である五月ですが、また一方では早苗の月でもあります。田植えの主役である女性達(早乙女)は田植え前のこの端午の節供には、その身を清浄に保つため、忌籠りして魔を避けました。今でも端午の節供といえば、菖蒲と蓬(よもぎ)を屋根に挿したり、この二つを束ねたものを屋根に投げ上げたりする風習があります。これは天から降る「魔」から身を守るための呪いであったと考えられます。端午の節供に付きものの、菖蒲湯の風習も穢れを取り除くための禊の一種と考えることが出来ます。

◇五月五日は「薬日」
 五月五日は魔の降る日と書きましたが、この日はまた、薬日(くすりび)とも呼ばれ、山野に出て薬草を採取するという日でもありました。屋根に飾り、菖蒲湯を作る菖蒲や蓬もこうして集められる薬草の中の一つでした。この日集められた薬草は、錦の袋などに詰め、薬玉(くすだま)として邪気を遠ざけるためにこれを軒や室内に吊り下げておく風習がありました。この「薬玉」が現在祝い事になどに登場する「くす玉」の元ですが、雰囲気は大分違っていますね。

◇薬降る
 魔の降る日、その魔を避けるため薬玉を作り屋根には菖蒲と蓬を飾ります。その一方で、この日降った雨が伐った竹の節にたまった雨水を神水と呼び、この水で薬を溶けば薬効が増すとも言われました。この日降る雨は魔ばかりでなく、薬でもあったのです。そのためこの日はまた「薬降る日」ともされました。魔も神も人間以上の力を持った自然の象徴と考えれば、表裏一体のものと言えるのかも知れません。魔も一転すれば神となり役立つ薬となる。そう考えて、あるいは望ましくない魔を役に立つ薬に転ずるための呪いの言葉が薬降るだったのかも知れません。さてさて、間もなく降り出しそうな旧暦五月五日の今日の雨は無事に「薬」となって薬降る日となったでしょうか? それとも「魔の降る日」で終わっちゃうのかな?「薬」と「魔」では同じ雨でも大違い。この辺りの違いは、一人一人の日頃の行いの違いかもしれませんので、深く追求するのは、やめておきましょう。(「2019/06/07 号 (No.4633)」の抜粋文)

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【五月雨】(さみだれ) [日刊☆こよみのページ]

【五月雨】(さみだれ)
 (サはサツキ(五月)のサに同じ、ミダレは水垂みだれの意という)
 1.陰暦 5月頃に降る長雨。また、その時期。つゆ。梅雨。さつきあめ。夏の季語。
  古今和歌集夏「五月雨に物思ひをれば」。奥の細道「五月雨をあつめて早し最上川」
 2.(五月雨のように)途切れがちに繰り返すこと。 《広辞苑・第五版》

 今日は旧暦(陰暦) 5月の朔日です。旧暦5月といえば五月雨の月。日本の南部の地方では梅雨入りが発表され始めています。辞書の説明にあったとおり、「五月雨」にはとぎれがちに繰り返すという意味がありますが、旧暦の5月の頃に降り続く雨を眺めていると、「五月雨式」ってずっと続くって意味かな?と思えるほど連続的に雨が降りますね。ほどほどのところで降り止んで欲しいと思うのは、私だけではないでしょう。さて今年の「五月雨の季節」の雨の具合はどうでしょう。

◇言葉は変わる?
 以前コトノハで「五月晴」を紹介したとき、この言葉の本来の意味である梅雨の合間の晴れた空から、現在私たちが使っている新暦の 5月に合わせて、その頃の清々しい青空を指して五月晴れと使う例が増えてきたことを書きました。時代に合わせて言葉も変化しているという実例ですね。五月晴れの例とは反対に、「五月雨」もそのうちに本来の意味を離れ、

   5月の清々しい季節に、時折降る明るい雨

 のように使われるようになるかも知れません。そうした新しい「五月雨」という言葉の例は見かけませんが、新しい「五月晴れ」と同じように、少しずつそうした用例が現れてくるかも。それこそ、「五月雨式」に。そんな時代はいつ頃やってくるのでしょうか?案外、私が気が付かないうちに、どこかで新しい意味の「五月雨」が使われているかもしれませんね。もし、そんな新しい意味の「五月雨」を見つけたら、読者の皆さん、私にも教えてくださいね。(「2019/06/03 号 (No.4629)」の抜粋文)

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【どくだみ】 [日刊☆こよみのページ]

【どくだみ】
 (毒を矯める・止める、の意。江戸時代中頃からの名称)ドクダミ科の多年草。雑草として各地に分布。茎は高さ15~35センチメートル。地下茎を延ばして広がる。葉は心臓形で悪臭をもつ。初夏、茎頂に、 4枚の白色の苞ほうのある棒状の花序に淡黄色の小花を密生。全草を乾したものは生薬の十薬(じゅうやく)で、漢方で消炎・解毒剤などとして用い、葉は腫物に貼布して有効という。ドクダメ。古名シブキ。夏の季語。書言字考節用集「羊麻草、ドクダミ」《広辞苑・第六版》

 沖縄~九州南部までが梅雨入りしたとか。東京は梅雨入りにはまだ早いようですが、本日は近づく梅雨を予感させるようなどんよりとした曇り空です。空気もどこか何処かどんよりした感じ。湿度が高いのでしょうか?そんな雨の季節の訪れを予感させる季節に元気に咲く花があります。ドクダミです。ドクダミは雨水が溜まるようなじめじめした場所を好んで群生しますが、そうでない場所には生えないのかといえばさにあらず。ドクダミの辞書には「好き嫌い」という言葉は無いようです。ドクダミは、これを手折ると強い臭気があることから毒草と考えられることが有るようで、その証拠に「手腐れ(てぐされ)」なんていう有りがたくない別名も有ります。もちろんこれは誤解。それどころか、毒下し、切り傷、腫れ物、化膿などの治療に効果があり、十の薬にも匹敵するということから十薬と呼ばれます。どくだみは 正面から見ると4枚の花びらが「十」の文字のように見える花を付けます。生きた草を手折るとするあの臭気も、干したり茹でたりすると消えるそうで、食材にもなるそうです。残念ながらどんな風に料理したらいいのかは知らないのですが。ドクダミはコンクリートに囲まれた東京でも、ほんの僅かな空き地を見つけて、力強く生きています。ドクダミを食材として有効活用できるのなら、結構な量が手に入れられそうです。もっとも、どんな風に料理したらいいのか判らない内は無闇に採集してこようとは思いませんが。でもいつか試してみたい。「恐いもの見たさ」的な興味ですけれど。(「2019/06/02 号 (No.4628) 」の抜粋文)

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