SSブログ

【葉守の神】(はもりの かみ) [日刊☆こよみのページ]

【葉守の神】(はもりの かみ)
 樹木を守護するという神。柏の木に宿るという。枕草子40「柏木、いとをかし、葉守の神のいますらむもかしこし」 《広辞苑・第六版》

 柏は柏餅を巻いているあの葉っぱの木です。子供の頃住んでいた家には小さな畑がありました。その畑の隅にこれまた小さな一本の柏の木が植えられていました。柏の木は大きな葉っぱが特徴ですが、あの大きな葉っぱも冬になるとすっかり枯れてしまいます。不思議なことに柏の枯れ葉は他の木の枯れ葉のように、枯れても木から離れようとはしません。枯れたまま枝に残り、翌春に新しい葉の芽が生まれるまで枝に留まります。昔、家の畑の隅に植えられていた小さな柏の木も、小さいながら冬は枯れた葉を身にまとって冬の風に揺れていました。柏の木に残る枯れ葉は、柏の木に宿った神に守られて残っているのか、はたまた、枯れてもなお木を守る枯れ葉そのものが神なのか。もし何処かでカサカサと枯れ葉の擦れ合う音を耳にすることがあれば、そこに木を守る葉守の神がいらっしゃるのかも知れません。葉守の神に守られて木々は厳しい季節を乗り切って行きます。(「2020/12/07 号 (No.5182)」の抜粋文)
nice!(0)  コメント(0) 

【団栗の背競べ】(どんぐりのせいくらべ)

【団栗の背競べ】(どんぐりのせいくらべ)
 どれもこれも似たようなもので、大したものではないこと。また、大きなちがいはないこと。
   《広辞苑・第六版》

 「ドングリの木」という種類の木があると思っていました。その「ドングリ」という種類の木に生る実がドングリの実だと思っていたのです。「ドングリの木」と思っていた木がクヌギと呼ばれる木だと知ったときにもドングリはクヌギの異称くらいに思っていました。でもクヌギ以外の木、例えばカシやナラの木に生る実も、「ドングリ」だというのを知って、驚いたことを覚えています。私からすると、形は似ていても小振りのカシの木の実などはドングリの仲間には入らないと思っていたからです。そして知ったのが、ドングリ(団栗)はクヌギやカシやナラといった木に生る実の俗称だったということです。つまりドングリという種類の木があるわけではなかったのです。こんなあたりまえのことを知るまで、私は20年くらいかかってしまいました。ぼんやり生きてきたんだな・・・。

◇ドングリ独楽
 形状やその質感から考えると、私がドングリとは思わなかったカシの木の実も確かにドングリなのですが、どうしてもそう思えないのは形ではなくて大きさの違いによるものです。私にとっては、ドングリの価値はその大きさにあったから。子供の頃に学校の行き帰りに拾って帰るドングリは、大きくてずんぐりしたものが多かったように思います。理由は簡単。そうしたドングリがドングリ独楽にするのに適していたからです。大きなドングリを集めては、家に帰って錐でドングリに穴を開け、その穴に爪楊枝や竹ひごを刺して独楽にし、これを回して遊ぶのが好きでした。私にとってのドングリの価値が大きさにあり、ずんぐりしたものを好んだのも、少しでも長く回り続けるドングリ独楽を作ることが出来るものこそよい「ドングリ」だったからでしょう。ドングリの価値は、よいドングリ独楽が出来ることで決まるとすると、小さなカシの木のドングリはドングリじゃなかったわけです。

◇「同じようなもの」じゃないけど?
 よいドングリ独楽を作るために、いろいろなドングリを見比べていた子供の私には、「団栗の背競べ」という言葉の意味は分からなかったと思います。だって、ドングリの実はどれ一つとして同じではなく、同じ木の同じ枝に生ったドングリでさえ、一つ一つ違っていて、似てなんかいなかったから。千差万別といえるほど様々な形や大きさのあるドングリを「どれもこれも似たようなもの」だの、「大したことのないもの」だというのは、それをいう者に見る目の無いだけだと思います。いくつものドングリを並べて背競べをさせたら、「どれもこれも同じようなもの」なんて簡単にいうことができないことに気づくはず。私達だって、多分団栗の背競べ。でも人それぞれに違いがあって、それぞれに特徴があります。それに気が付くかどうかは、どれくらい真剣にそれを見ているかという見る側の問題なんです。そういえば、1kmほど離れた公園に、樫の木がありました。この時期になら、その樫の木の下にもその実が落ちているかも。子供の頃にはドングリの数に入れなかった樫の木の実ですが、ドングリ独楽基準としての価値以外の尺度で見直したら、カシの木のドングリも立派なドングリの一つだと、認識出来る様になっているかも?散歩がてらに、樫の木のドングリ拾いでもしてこようかな?(「2020/12/06 号 (No.5181) 」の抜粋文)
nice!(0)  コメント(0)