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相思華】(そうしばな) [日刊☆こよみのページ]

相思華】(そうしばな)
 または「相思花」。彼岸花の異称。秋の季語。彼岸花ほど異称の多い花も少ないのではないでしょうか。その名前を拾ってみると

  彼岸花・死人花(しびとばな)・天蓋花(てんがいばな)
  幽霊花(ゆうれいばな)・捨子花(すてごばな)・狐花(きつねばな)
  三昧花(さんまいばな)・曼珠沙華(まんじゅしゃげ)
  相思華(そうしばな)

 これだけあれば、幾つかは聞いたことがある名が有りますね。本日取り上げた「相思華」もそうした名前の一つ。この花は、秋の彼岸の頃に咲き始める強烈な赤色をした花で、あたり一面を埋め尽くすように群生する花です。その季節性と特徴的な姿と色から強烈な印象を与える花です。日本においては、お墓で見かけることの多い花でもあるためか、お墓や死人と結びついたちょっと不気味な名前が多いようです。こうなってしまった理由は、この植物が有毒であることが関係しています。この花は花から茎、地下の球根に至までリコリンという有毒成分を含む猛毒の植物です。昔、土葬が一般的な埋葬方法であった時代、遺体を野犬などが掘り起こして傷めることを防ぐため、周囲にこの有毒植物を植えて守ったことから、墓地に多い花として墓地や死人と結びついてしまったようです。田の畦や水路の土手などに多く生えるのも同じく、この毒によってもぐらなどが土手を崩してしまうことを防ぐために植えられたと考えられます。毒も使いようで役に立つという見本のようです。役に立ちながら、日本においてはあまりありがたくない名前を頂戴するこの花ですが、お隣韓国では「相思華」と呼ばれます。この呼び名が日本にも及んで「そうしばな」となりました。相思華という名はこの植物の特殊な成長の様子に由来します。彼岸花の咲いている風景を思い出してください。真っ赤な花が一面を覆う風景の中に、なぜか葉の姿が有りません。この植物は花が咲くときには葉が出ておらず、葉が出る頃には花が散ってしまう不思議な植物なのです。普通の植物ではあたりまえの花と葉ですが、この植物にあっては花と葉はすれ違い。同じ根から発しているにもかかわらず花と葉はお互いを見ることが出来ないのです。

  葉は花を思い、花は葉を思う

 お互いを見ることの出来ない花と葉がお互いを想い合うだけ。なんだか悲恋を連想させます。そう考えるとあの強烈な花の色も、毒々しいものではなく、思いの強さを伝えるものに思えてきます。名前一つで印象が変わります。どこかで彼岸花を見かけることがあったら、そのときにはこの花のもう一つの名前、「相思華」を思い出し、そしてこの花を見直してみてください。私は、先週の日曜日に近所の小学校の周りの生け垣の中に、一群の相思華を見ました。秋なんだなと感じた瞬間です。(『2015/09/30 号 (No.3287)』の抜粋文)

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