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【二季草】(ふたき ぐさ) [日刊☆こよみのページ]

【二季草】(ふたき ぐさ)
 藤の異称。蔵玉集「ときはなる花とも見ばや二季草松にのみただかかる名なれば」 ≪広辞苑・第六版≫

 「今日は暑いな」大型連休が終わり、こんな言葉が口をついて出るころになると、あちこちで目にするようになる藤の花。田舎育ちの私には、遊び場であった里山の外縁、日のよく当たる辺りの木に巻き付いて花を咲かせる藤はなじみの植物でした。藤は有用な植物として古くから、藤の蔓や皮は丈夫な綱としたり、繊維をとりだして荒栲(あらたえ。「荒妙」とも書く)と呼ばれる目の粗い織物の材料として使われていました。こんな実用的な「有用」とは違いましたが、野山を駆け回って遊んでいたころの私にも、その丈夫な蔓や碁石のような形の実は、大変有用な遊び道具となり、重宝しておりました。こうした有用性のほかに、藤はその長く垂れ下がった花房の形は実った稲穂を連想させるということから豊作を約束する目出度い花とされ、米を重要な食物としてきた日本人には、藤はずっとなじみ深い植物であり、その花はなじみの深い花でした。

◇春と夏、二つの季節の間に咲く花
 藤は春の終わりから夏の始めの、春と夏の二つの季節の間に花を咲かせることから「二季草」とも呼ばれることもあります。『明治の作家斎藤緑雨が「青皇の春と、赤帝の夏と、行会の天(ゆきあいのそら)に咲くものなれば、藤は雲の紫なり」と書いている。』お天気博士として知られる倉嶋厚さんの「季節の366日話題事典」という本にこの一文を見つけました。「青皇の春と赤帝の夏」とは、五行説による季節の色、春の青と夏の赤を踏まえた言葉です。青色の春と赤色の夏の行合う空に咲く藤の花は、春の色と夏の色が混ざり合った紫色なのだとは、面白い説明です。

◇藤の花の開花時期
 四月の終わりごろになると、長い藤の花房に花が開きだします。五月の上旬には立夏を迎え、暦の上では季節は夏となりますから、藤の花の咲くころは正に春と夏の交代する時節ということができます。なるほど、二季に咲く花です。全国の気象台が毎春、桜の開花時期を発表していることは皆さん、よくご存じのことでしょう。気象庁ではこうした生物季節の観測を行っており、いくつかの植物については、地域ごとにその開花時期をまとめています。藤もそうした植物の一つ(藤の場合は、日本各地に普通に見られる「ノダフジ」についてまとめられています)。前出の倉嶋さんの著作には、気象庁の生物資料によるノダフジの開花平均日も載っていました。それをそのまま使わせて頂くと、
 
  宮崎 4/09、 京都 4/23、 東京 4/23、 長野 5/04 盛岡 5/22、 青森 5/22、 函館 5/30

 のようになります。藤の花が咲きだせば、野山の上でも季節は春から夏に変わってゆきます。皆さんのお住まいの地域では、藤の花はもう咲きましたか?(『2017/05/11 号 (No.3876) 』の抜粋文)
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