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【桜色】(さくら いろ) [日刊☆こよみのページ]

【桜色】(さくら いろ)
 桜の花のような色。淡紅色。「ほんのり桜色に上気する」 《広辞苑・第六版》

 今は桜と言えば染井吉野の花、桜色も染井吉野の花の色を思い浮かべるようになってしまっていますが、桜色という言葉が生まれた時代の桜は山桜。山桜は白い花とともに紅色の若葉が現れ、同時に見えることからまずは平安時代の貴族女性の衣装である十二単の色目の組み合わせとして「桜襲(さくらがさね)」が生まれました。もっとも元の花色に近い桜襲は「表白・裏赤花」という組み合わせであったといいます。この配色は、山桜の白い花と、その間から見える紅色の若葉の組み合わせを表したものでしょう。そして、白い花と紅色の若葉に彩られた山桜を遠望すれば、花と葉の色が混じり合って薄い紅色となり、これが桜色と呼ばれるようになったようです。桜色は布地の織色としては、縦糸(経、たて)を紅糸、横糸(緯、ぬき)を白糸で織ったものがもっとも桜色に近いとされます。染め色としての桜色は江戸の中期頃から広く使われるようになり、今に至っています。桜と関係する色名としては英名のチェリー(Cherry)、仏名のスリーズ(Cerise)がありますがどちらも、桜の花色ではなく、実であるサクランボの赤色を表す言葉。所変われば品変わるといいますが、国が違えば「桜」で想像するものが花と実の違いがあるようです。想像するものが花と実の違いがありますから、桜の色の意味する色も、違ったものになるのですね。現代の東京では大部分の桜は染井吉野。「桜色」という言葉が生まれた時代の桜とは、その花の色が若干異なっていることでしょうが、桜の花の色を愛する気持ちは同じ。東京の桜は盛りを過ぎ、今週に入ってからは散る花が増えてきています。現代の「桜色」を楽しむこの春の時間は、残り少なくなってきました。(「2019/04/09 号 (No.4574)」の抜粋文)


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