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菜虫蝶と化す [日刊☆こよみのページ]

□菜虫蝶と化す
 今日は七十二候、「菜虫蝶と化す」の期間の始まりの日です。「菜虫(なむし)蝶と化す」は二十四節気の啓蟄の末候。地中から虫たちが姿を現し始める啓蟄の期間の終わりには、地中から姿を現した虫が蝶になってゆくのですね。もっとも、蝶にかわる青虫などは土から出てくるわけではありませんけれど。私個人の体験からすると、蝶がひらひらと舞う季節というのはもう少し先のような気もしますが、早起きで働き者の虫はもう蝶となって、菜の花畑を飛び回っているのかも知れません。菜虫の時期と、蝶の時期にはふれられているけど、その間にある、さなぎの時期は?なんて話はここでは忘れて、この時期には蝶が姿を現す時期なんだなと、暦の話として受け入れて頂きましょう。
 
◇夢見鳥(ゆめみどり)
 菜虫から姿を変えた蝶は、またの名を「夢見鳥」ともいいます。「夢見鳥」の名は、荘周胡蝶の夢の故事に由来します。昔、荘周(荘子)が夢の中で蝶となり、花と花の間を楽しく飛び回った。蝶となって花々の間を飛び回っている間、荘周は蝶そのものであって、人間の荘周が夢で見た存在だとは思いもしなかった。夢から覚めて、荘周は自分が人間であったと思い出したが、そこでふと疑問が湧いた。夢の中で蝶であったとき、自分は蝶そのもので、人間の夢の中の存在だなととは露ほども思わなかった。今、夢から覚めた自分は人間だと思っているが、それは本当だろうか。もしかしたら、人間荘周だと思っている自分は、蝶の見た夢の中の存在なのかも知れないと。辛いことも楽しいこともあるありながら1/2世紀以上も生きてきたと思っている私の人生も、もしかしたらどこかの菜の花の上で、ウトウトしている蝶の見た長い夢なのかも知れません。

◇「菜虫蝶と化す」時期は?
 七十二候の「菜虫蝶と化す」の期間は、今年は3/15~3/19の間ですが、実際の蝶と化す時期は?1995年に出版された「気候図ものがたり」という本に、気象庁のモンシロチョウの初見の日付が書かれています。その日付によれば、

  鹿児島 3/6 , 福岡 3/16 , 高知 3/8 , 鳥取 3/25 , 広島 3/17 ,
  大阪 3/31 , 京都 3/26 , 名古屋 3/27 , 長野 4/3 , 前橋 3/30 ,
  新潟 4/9 , 仙台 4/5 , 青森 4/22 , 札幌 4/26

 だとか。なるほど、七十二候の「菜虫蝶と化す」の日付は、実際の蝶(ここではモンシロチョウ)の初見の日付と合致しているといってもよさそうです。ちなみに、「気候図ものがたり」のモンシロチョウの初見の日付の一覧には那覇と東京の名前もありましたが、どちらも日付の欄は「-」となっていました。那覇は温かいので一年中モンシロチョウが飛んでいるから「初見」がないのか? 東京に初見の日付が無いのは、調査の対象項目にないからでしょうか?

◇暦の上の季節感と個人の季節感
 先に、個人的体験では蝶がひらひら舞う季節というのはもう少し先のような気がしますとしましたが、私の生まれは福島県ですので、それに近い仙台のモンシロチョウの初見の日を見ると4/5。暦の「菜虫蝶と化す」の時期と、私の感覚がずれているのは私の感覚が子供時代を過ごした東北の気候にあわせて形作られたものだからのようです。みなさんの感覚での蝶の舞う季節は、七十二候の「菜虫蝶と化す」と合致していますか?ご自分の感覚と暦の日付の差から、自分の感覚が形作られた過程を振り返ってみるのも暦の楽しみ方の一つかも知れません。(「2021/03/15 号 (No.5280)」の抜粋文)

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