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【水仙】(すいせん) [日刊☆こよみのページ]

【水仙】(すいせん)
 1.水中の仙人。
 2.ヒガンバナ科の多年草。
 地中海沿岸原産で、古くシルク‐ロードを通って東アジアに渡来。日本の暖地海岸にも自生化。地下に卵状球形の鱗茎を有する。葉は線状で叢生。冬から早春に花茎の先端に数花を開く。 花被片は6枚で白色、内側に濃黄色の盃(さかずき)状の副花冠がある。


 八重その他の園芸品種が多い。また広義にはヒガンバナ科スイセン属の植物の総称。スイセンをはじめ約30種あり、地中海沿岸から西アジアに分布。重要な園芸品種が多く、秋植の球根類として栽培。ラッパズイセン・キズイセン・クチベニズイセンなど。房咲水仙。冬の季語。 《広辞苑・第七版》

 季節は初冬。日毎に寒さがつのる今日この頃に、寒がりの私は冬眠できるものならば冬眠したいと思いながら暮らす今日この頃です。そんな季節の寒風にも負けず、いえ、寒風を楽しむように力強く咲く花が水仙です。辞書の語釈にあるとおり、水仙の花は白い6枚の花被片の内側に濃黄色の盃状の副花冠がつきます。その姿から「金盞香」という異称があります。七十二候の一つ、立冬の末候「金盞香さく」は水仙の花の咲く季節の意味です。

◇地中海沿岸で生まれた花と伝説
 水仙は、ギリシャ神話では水に映った自らの姿に恋してついには死んでしまうナルキッソス(Narkissos) の生まれ変わりだと言われています。水辺で俯きがちに咲く花の姿から生まれた伝説でしょう。地中海沿岸で生まれたこの水仙は、シルクロードをたどって中国に到達し、そこで「水仙」という文字を名として与えられました。「水の仙人」を意味する水仙の名はナルキッソスの物語りも花とともに伝えられたのだという証かもしれません。この水仙、日本のあちこちに自生している花なので、改めて原産が地中海沿岸と言われるとなんだか不思議な気がします。それでも日本の水仙の名所として知られる場所を思い浮かべると、越前海岸や、淡路島の洲本、伊豆の爪木崎などみな海に面する場所ばかり。地中海と日本の海と違いはありますが、やはり海には縁の深い花なのでしょうか。私の自宅のある和歌山県の那智勝浦から車で小一時間ほどの距離にある串本大島も水仙の名所の一つ。やはり太平洋を見下ろせる丘の上に群生する水仙を見ることが出来ます。

◇水仙の毒
 きれいな水仙には、棘はありませんが毒があります。今は花の咲く時期なので間違えることもありませんが、花のない時期にこの葉を見ると野菜のニラとよく似ていることから、これを間違えて水仙の葉を食べてしまうことがあり、そうした事故のニュースを聞くことがあります。水仙の毒はリコリンと呼ばれるアルカロイド系の毒で、食べると嘔吐や下痢を引き起こすとか。きれいな花の毒には注意し、眺めて楽しむだけにいたしましょう。

                          (「2022/11/18 号 (No.5893) 」の抜粋文)
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