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【卯の花腐し】(うのはな くたし) [日刊☆こよみのページ]

【卯の花腐し】(うのはな くたし)
 (「くたし」は、グタシ・クダシとも。卯の花を腐らす意)陰暦4月から5月に降る雨。梅雨に先立って降る長雨、また、さみだれの異称。夏の季語。謡曲、歌占「時しも卯の花腐しのさみだれも降るやとばかり」。日葡辞書「ウノハナクダシ」。小杉天外、はやり唄「四五日降続いた卯の花腐しも暁方あけがたから収あがつて」 《広辞苑 第七版》

 旧暦の四月は「卯月」。また「卯の花月」とも呼ばれます。この呼び名は、卯の花が咲く月だからついたという説もありますが、卯月に咲く花だから卯の花だという説も有ります。さて、どちらが鶏でどちらが卵でしょうか?暦月の名と花の名前の鶏と卵論争はさておくとして、卯の花の咲く季節であることは確か。この卯の花の咲く季節に降る雨を、「卯の花腐し」と言います。卯の花を腐らせるような長雨ということです。春雨と梅雨の間、本格的な梅雨の前触れ走り梅雨の呼び名だと言われます。せっかく咲いた卯の花を散らせてしまう雨だから、「卯の花降し」と書くのだとも言います。今年の西日本の梅雨入りはとても早くて、5月の内に露となってしまいましたから「梅雨に先立って降る長雨」という語釈とは合わなくなってしまいましたが、卯の花はまだまだ盛大に咲いていますので、梅雨の雨でも「卯の花腐し」と呼んでもよいのでは?自宅の裏山にも卯の花が自生しており、家からほんの 5分、裏山の中へ足を踏み入れれば、野生の卯の花を見つけることが出来ます。雨の日に傘をさし、靴を濡らしながらこの山に入ると山の木々の間に、白く並んだ卯の花が、枝や葉や花の上に雨粒を載せて咲いています。名前では卯の花を腐らせたり、降したりする卯の花の天敵のような雨ですが、雨の中の卯の花は美しく、それを見れば卯の花と卯の花腐しの雨は存外、仲がよいものなのかもしれないと思えてきます。

                          (「2023/06/01 号 (No.6088) 」の抜粋文)
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