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【彼岸花】(ひがんばな) [日刊☆こよみのページ]

【彼岸花】(ひがんばな)
 ヒガンバナ科の多年草。田のあぜ・墓地など人家近くに自生。秋の彼岸頃、30センチメートル内外の一茎を出し、頂端に赤色の花を多数開く。花被は 6片で外側に反り、雌しべ・雄しべは長く突出。冬の初め頃から線状の葉を出し、翌年の春枯れる。有毒植物だが、鱗茎は石蒜(せきさん)といい薬用・糊料とする。カミソリバナ。シビトバナ。トウロウバナ。マンジュシャゲ。捨子花。天蓋花。秋の季語。《広辞苑・第六版》

 今週の始め、三重県の海辺の街をうろうろする機会を得ました。その「うろうろ」している間、あちこちで目にしたのが真っ赤な彼岸花。とっても律義な彼岸花は、その年が暑かろうが寒かろうが、そんなことには頓着せず、いつも秋の彼岸の時期に花を咲かせます。彼岸花を見ると ああ、お彼岸かと思い出すかわうそでした。本日は、私に秋彼岸を思い出させてくれる彼岸花の話です。

◇ある日ニョッキリ
 ある日、田んぼのあぜ道や庭の隅にニョキニョキッと黄緑の柄が伸びてきて伸びてきたと思ったらその、その二三日後には柄の先端に真っ赤な花を咲かせている彼岸花。芽が出て葉を膨らませ、その葉にたっぷり陽を浴びてから花を咲かせるというのが普通の植物。物事には順序というものがあるだろうと、そんな説教をしてしまいたくなるほど、彼岸花は風変わりな花です。もちろん説教したって花の咲き方が変わるはずはありませんけれど。

◇海を渡ってきた彼岸花
 彼岸花はその名の通り、秋のお彼岸の頃に咲く花で東北地方の中部から九州に至る広い地域でその花を見ることが出来ます。これほど広く広がった彼岸花ではありますが実は有史前帰化植物であって、日本に自生していた植物ではないと考えられています(原産は中国)。どのような経緯で海を渡ることになったのか、正確なところは分かりませんが、今でも彼岸花が人里とその近辺に多く、山林や草原などで見かけることがないことを考えると、人とともに海を渡って人とともに拡がった植物のようです。

◇天上に咲く紅い花
 彼岸花には沢山の異称がありますが、中でも一番有名なものは曼珠沙華(まんじゅしゃげ)ではないでしょうか。曼珠沙華とはサンスクリット語で「天上に咲く紅い花」を意味するのだそうです。法華経が説かれるときに瑞祥として天から降る四種類の華(四華)の一つともされています。

◇不吉な名前も
 彼岸花の異称には不吉なものも沢山あります。死人花・地獄花・幽霊花・厄病花・捨子花などがそれです。こうした不吉な名前が付いたのは、この花が墓地に多く見られること、球根にも柄にも葉にも花にも、アルカロイド系の猛毒を持つこと、飢饉の際の非常食であったことなどと関係があるようです。墓地で多く見られる理由は、この植物が有毒植物であることから、土葬が一般的だった時代には、埋葬した遺体を野犬などが掘り起こして食い荒らすことを防ぐために墓地にこの花を植えたためだと考えられます。

◇最後まで風変わりな植物
 花の咲かせ方が風変わりな彼岸花ですが、その花の形も風変わり。誰かがデザインしたんじゃないか? 天然自然にあの形になったとは、どうしても思えない不思議な、そして見事な形です。花が終わると、次は実が出来て種が出来る、普通の植物ならこうですが彼岸花は種を作りません。彼岸花は花が咲いても種が出来ない徒花(あだばな)なのです。彼岸花が種も作らず花を終えてしまった後に起こることは、今まで一度も登場しなかった葉っぱが姿を現し伸び出すこと。葉っぱが出る時期には花が終わってしまっているので、彼岸花の花は葉を見ず、葉は花を見ずということになります。彼岸花は最後まで風変わりな植物です。(「2018/09/21 号 (No.4374)」の抜粋文)

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