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【夏草】(なつくさ) [日刊☆こよみのページ]

【夏草】(なつくさ)
 夏に生い繁る草。夏の季語。万葉集10「夏草の刈り払へども生ひしくごとし」。奥の細道「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡」。《広辞苑・第七版》

 ついさっきまで雨が降っていたのに、雲が去るとたちまち強烈な陽射し。雨で濡れた地面からは湯気が立ち昇るほど。私たちにしてみると強い雨も陽射しも辟易してしまう厄介なものですが、草たちにとってはどちらも歓迎すべきもののようです。たっぷりの雨とたっぷりの陽射しを得て、夏草が生い茂っています。一月ほど前に草刈りした場所も、あっという間に成長する夏草に覆われてしまって、足を踏み入れることに躊躇するような有様。草にとって夏は「この世の春」のようです。もしこの瞬間に人間が消えてしまったらどうなるだろう私は時折、こんなことを考えることがあります。街は、ビルは、道路は、トンネルはどうなってしまうのだろうかと。

  夏草や兵どもが夢の跡

 と芭蕉は詠んでいますが、わずか一月で伸びる夏草の勢いを目にした後では人がいなくなって数年、数十年が経過してしまったら、夏草の間に人の夢の跡をたどることは難しいかもしれません。夏草が「この世の春」を謳歌している間は、草の勢いに負けないように草刈の頻度を高める必要がありそうです。ああ、大変だ。

                          (「2023/08/26 号 (No.6174) 」の抜粋文)
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