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【処暑】(しょしょ) [日刊☆こよみのページ]

【処暑】(しょしょ)
 (暑さがおさまる意)二十四節気の一つ。太陽の黄経が150度の時で、暑さが止み、新涼が間近い日。7月の中(ちゅう)。太陽暦の8月23日頃に当たる。 《広辞苑・第六版》

 「陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也」

 これは天明七年(1787)に出版された暦の解説書『暦便覧』の処暑の説明です。簡単にして明瞭に、処暑という言葉を説明してくれています。このころには萩の花が咲き、朝夕は心地よい涼風が吹く頃。ただし、処暑のころから秋分の頃までは台風のシーズンでもありますので、「心地よい」とばかりは言っていられませんが。現在の二十四節気は、広辞苑の説明にあるとおり、太陽(の中心)の黄経で区切る定気法(ていきほう)という方式によっており、処暑の始まる位置はこの黄経が 150度と定められています。今年(2018年)に太陽中心がこの位置を通過するのは8/23の午後1時(日本時)頃ですから、処暑の期間は昨日8/23からということになります。こうした定気法による二十四節気は、現在の旧暦の基となっている天保暦から採用されたものです。天保暦の施行は西暦1844年ですから、案外にその使用の歴史は浅いものです。定気法以前の二十四節気はどのような方式によっていたかというと、これは平気法(へいきほう)と呼ばれるものでした。平気法の原理は冬至と次の冬至の瞬間を求め(当時の瞬間については、定気法と同じ)、二つの当時の間の時間の長さを24等分するという方式です。どちらの方式で求めたものでも、二十四節気そのものの時期は大きく異なることはなく、ずれの大きな所でもその差は精々2~3日程度のものですから、平安の昔も今も、処暑の時期は変わらないと考えてもよいでしょう。もちろん、1787年に刊行された前出の暦便覧が書かれた時代も同じこと。(ちなみに、平気法で計算すると今年の処暑は8/22~9/5です)暦便覧の言葉のように、暑さが止んで、涼しさが近づく季節となったはずです。さてさて、本当にそうでしょうか?東京はというと、今のところは暑さが止んだ感がありますが、長期の天気予報では、また暑さが戻ってくるとか。どうなりますかね?(「2018/08/24 号 (No.4346)」の抜粋文)


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今日は立秋 [日刊☆こよみのページ]

■今日は立秋
 今日う、2018/8/7は立秋です。ということで、本日から「暦の上では秋」です。「この暦の上では××です」この言葉は、テレビの天気予報番組等では常套句として使われるものなのできっと、今日一日の間に、1度や2度はこの言葉を耳にすることがあるでしょう。今日の場合は「××」には「秋」が入って、「暦の上では秋ですが、秋と言っても猛暑はまだまだ続きそう・・・」というような話と仕立てられます。だいたいこうした話をされる場合、新暦は悪者扱いされるようで、こんな暑い時期に「立秋」となるのは旧暦の日付をそのまま新暦の日付に置き換えたからだと新暦が日本の風土に合わない暦なのだと批判する人がいます。この日刊☆こよみのページをお読みの方は、そんな話はなにいってるんだか。馬鹿馬鹿しい。と笑って聞き流してくださることと思いますが、世の中にはこの間違った話を鵜呑みにしてしまう方もいらっしゃって、このことが、時には私の頭痛の種になることもあります(変な質問メールが送られてくるとか)。こよみのページの読者に、そんな方はいらっしゃるはずもないですが、本日は念のため、こうした誤解をしないように、改めて立秋について書いてみることにします(体よく、話の種を仕込んだ感ありですね・・・)。

◇立秋は、太陽暦の産物
 立秋は二十四節気の一つ。二十四節気は、太陽が黄道と呼ばれる太陽の天球上の通り道のある位置を通過する日付を示しています。太陽の位置を示していると言うことから判るとおり、これは太陽暦の産物なのです。太陽がある特定の位置、立秋なら太陽視黄経 135°、を通過する日です。ですから、立秋を表す日付は旧暦と新暦とでは、違っていますが、その日に太陽の視黄経が 135°になるというのは変わりません。つまり季節との関係と言う意味では立秋は変わらないと言えます。ですから旧暦時代でも、立秋の時期は今と同じで、暦の上では秋と言いながら猛暑の続く時期であったので、こうなったのが新暦のせいだというわけではありません。

◇立秋は秋の初め?
 中国、といっても黄河の中流域。古代中国で王朝の治乱勃興が繰り返された中原(ちゅうげん)と言われる辺りが、二十四節気の生まれた場所です。大陸の内陸部です。その昔地理で勉強したところによれば内陸性気候とは、寒暖の変化が激しく、乾燥した気候。現在日本で使われる二十四節気はここで生まれたものをそのまま用いていますから、今回採り上げた「立秋」も日本の気候に合ったと言うよりは大陸内陸部の「中原」の気候にあったもの。この中原付近の気候からすると、立秋の頃は気温が一番高い時期から半月~一月程後の気候。これに対して周囲を海に囲まれて気温の変化が太陽の動きからずれる傾向の強い日本では、この立秋の頃が暑さの一番厳しい時期となってしまいます。立秋という言葉の生まれた中国では、確かに立秋は秋の始まりを感じさせる時期にあったのでしょうが、こうした気候の違いからか、日本では秋の初めというには違和感のある「立秋」となってしまっているようです。「立秋とは言うが暑さは盛り。なんだか変だな」という感覚は日本においては昔も今も変わらないようです。そして立秋を過ぎた本日も、「うだるような暑さ」が続いております。きっと今日あたりも、日本のどこかで「40℃超」なんていう最高気温が記録されるかも。ああ、「暦の上での話」とはわかっていても、やはり、これでも秋?と言いたくなるのが、人情でしょうかね?(「2018/08/07 号 (No.4329)」の抜粋文)

 
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