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時雨虹(しぐれ にじ) [日刊☆こよみのページ]

□時雨虹(しぐれ にじ)
 北海道や東北地方からは雪の便りが聞こえてくる季節となりました。これからは、その知らせの場所が少しずつ南下してきて、日本列島全部が冬という季節に覆われることになるのでしょう。寒さは苦手な私ですが、寒さも季節の変化の一つ。寒さとも何とか折り合いつけて、季節の変化を楽しみたいと思います。さて、寒くなり雨が雪に変わってくる頃になると姿を消してしまうものがあります。本日は冬には姿を消してしまうものの一つ、虹についての話題を採り上げてみたいと思います。

◇七十二候「虹蔵不見」
 今日の暦にある七十二候の言葉を見ると「虹隠れて見えず」とあります。初冬の虹という話題として、まずはこの七十二候の言葉から始めてみることにいたします。「虹隠れて見えず」は中国から伝来したままの書き方では「虹蔵不見」。これを「虹蔵(かくれ)て見えず」と読みます。このままではやや読みにくいのでこよみのページではこれを「虹隠れて見えず」と書き表しています。さて、初冬のこの時期になぜ「虹隠れて見えず」とあるかと云うことですがそれは虹と雨は切っても切れない関係にあるからです。この記事の冒頭でも書いたとおり冬になると雨は雪へと姿を変えてしまいますから、虹もその姿を隠してしまうと云うことです。虹は、「虫偏」の文字であることからもわかるとおり、古代中国では生き物の一つ、竜の一種と考えられました。竜は水を操る神獣と考えられていましたから、その一種である虹にも水を操る力があると考えられました。虹の力を及ぼす水、それは雨。現代の私たちは、冬になって雨が降らなくなると虹が出ないと考えますが、古代の人たちは、冬は雨を呼ぶ竜、虹が姿を隠す時期だから雨が降らないと現代の私たちとは違った虹と雨の関係の捉え方をしていたようです。

◇時雨虹(しぐれ にじ)
 冬は雨が降らない季節とは書きましたが、初冬の日本ではまだまだ雨が降ります。この辺は七十二候や二十四節気が発明された中国の内陸部より日本の気温が高いという気象条件の違いのためです。初冬の日本に降る雨というと、思い出される言葉に「時雨(しぐれ)」があります。時雨は短時間にサッと降って雨が上がり、雨が上がったと思ったらまたサッと降り出す、そんな雨のです。虹は、雨がなければその姿を現しませんが、かといって雨だけがあれば姿を現すというものではありません。虹が姿を現すためには雨と太陽の光が必要だからです。雨と太陽の光という組み合わせが必要な虹にとっては、この降っては晴れ、晴れては降る時雨は、雨も太陽の光の両方が揃う姿を現すのに絶好の天気です。時雨雲が雨を降らせ、やがて頭上を去って代わりに青空が顔を覗かせると、頭上を去っていった雨に青空から覗いた太陽の光が当たって虹が生まれることがよくあります。こうした虹が「時雨虹」です。虹は太陽の光が斜めから差し込むほど、空の高いところまで広がった大きな姿となります。初冬の太陽は、夏と違って日中でも地平線からあまり高いところに昇りませんから、この時期に現れる時雨虹は大概がとても大きく見事な虹となります。実は、今年の「虹隠れて見えず」の期間に入る前日に、冬の見事な虹を見ることが出来ました。正午を少し過ぎたばかりの頃にその虹は見えましたので虹の高さは低めでしたが、その分くっきりとした虹でした。くっきりとした虹の外側には、かすかにでしたが、もう一つの虹も見えました。つがいの虹でした。冬の最中には姿を消してしまう虹ですが、初冬の時雨が止んで太陽が姿を覗かせたら、太陽の反対の方角に隠れてしまう前の虹の姿を探してみてください。

                          (「2023/11/26 号 (No.6266) 」の抜粋文)
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