SSブログ

春一番 [日刊☆こよみのページ]

□春一番
 寒い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は、着ぶくれして寒さをしのぐ毎日です。ああ、早く暖かくならないかな・・・

◇春一番とは
 言葉について、いつもお世話になる広辞苑によれば、「春一番」とは『立春後、はじめて吹く強い南寄りの風。はるいち。春の季語。天気予報では、立春から春分までの間に広い範囲ではじめて吹く、暖かく強い南寄りの風をいう。』 (広辞苑・第六版)とあります。今年は、北陸地方で、立春となったばかりの2/4に、早々に春一番が吹いたのだとか。私の住んでいる関東でも、「立春の日に春一番」が期待されていたのですが、どうやら南風の威力が少々足りず、春一番とはならなかったようですので、南風にはもう一度頑張ってもらうことになりそうです。春一番が吹く日付は年によって遅速がありますが、平均すると2/26だそうですから、北陸地方での今年の春一番は、だいぶ早いものだったのですね。天気予報の定義からすれば、春一番は立春以後でないといけないようですから、それを考えると、ほぼ最速の記録といってもよさそうです。春一番が吹く原因は日本海を低気圧が発達しながら通過して行く場合にこれに向かって南方から風が吹き込むことによります。南方からの風ですから暖かく、春一番が吹く日は暖かい日となります。暖かい風によって、冬の間眠りについている木々の芽や花の蕾は目を覚ますことになるのでしょうね。春一番は少々荒っぽい強い風ですが、木の芽、蕾の目を覚まさせるためにはこれくらい荒っぽい方が効果的なのかな?

◇もとは、漁師が恐れた風の名前
 さて、この春を知らせる少々荒っぽい風の名前は、もとは漁師を恐れさせた時化(しけ)を呼ぶ春の風の名だったそうです。春の始めに吹くこの強い南風を「春一番」と呼ぶようになったきっかけは安政 6年(1859)に壱岐(長崎県)の漁民がこの風に吹かれて起こした大量遭難だと云われます。この遭難で亡くなった方は53人にのぼったとか。これ以後、漁師たちは春の初めのこの強い南風を「春一(はるいち)」と呼んで恐れるようになったと云います。街中では、「少々荒っぽい風だな」くらいで済みますが、海の上では命に関わる風だったということです。

◇春一番の後
 春一番が吹く原因となるこの時期の日本海側の低気圧は足が速く、瞬く間に移動していってしまいます。低気圧が去ってしまうと、春一番によって北に押し上げられていた冬の寒い空気が再びその力を盛り返して、寒さがぶり返すことが通例。強い南風で暖かくなったと思ってもそれは一瞬のこと。暖かくなったと思った後に戻ってくる寒さは、一層身にしみそうです。「今日は暖かいな」なんて思っても薄着になるのは、しばらくお待ちを。もっとも、2/4 は空振りに終わった関東地方では、まずは「春一番」が吹いて、暖かい南の大気を送り込んでくれることが先ですけれど。(「2019/02/06 号 (No.4512) 」の抜粋文)

nice!(0)  コメント(0)