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寒露の頃 [日刊☆こよみのページ]

□寒露の頃
 寒露は二十四節気の一つ、九月節ですので節切りの暦ではこの日から九月となります(今年の場合旧暦はまだ八月二十二日ですが)。寒露は現在の求め方では、太陽の中心が黄道座標という天体の位置を表す座標(主に太陽系内の天体の位置を表すのに使われます)で経度 195度となる瞬間を含む日を節入りの日としており、今年はその日が今日、2020/10/8でした。江戸時代に出版された暦便覧という本では寒露(かんろ)を

  陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすれば也

 と説明しています。このころになると秋もその深さを増して、朝夕は草の上に冷たい露を結ぶようになります。夏草に結ぶ露ならば、露に濡れても暑さを凌ぐ一助ともなって心地よいものですが、寒露の頃の露に触れると、その冷たさに思わず身震いしてしまいます。

◇金生水(きんしょうすい)
 五行説では秋は金気、つまり金属の性質を持った季節とされています。金属は、触れば堅くて冷たいものです。金属のこの「堅い」という性質から、秋は堅い木の実(栗やどんぐり、椎の実など)、穀物の実(稲や大豆)が実る季節なのだと古代の人々は考えました。また、ひんやり冷たい金属の表面には露がつきやすいことから、金属は水を生み出す性質があるとも考えられました。ですから五行説では金気は水気を生むもの、「金生水(金、水を生ず)」と説明されることになりました。こう考えると、金気の季節である「秋」の二十四節気の中に「露」のつく言葉、白露と寒露の二つが含まれる理由もわかります。秋は実りをもたらすとともに、大気を冷やしてせっせと水を生み出す季節なのですね。

◇秋も終盤
 寒露は暦の上の秋の始まりである立秋から数えて60日目頃。一年を四季に分割すれば、一つの季節の長さはおよそ90日ほどですから秋も終盤に入ると云うことが出来そうです。このころになると菊の花が咲き始め、秋の野のにも様々な花を見ることが出来ます。山の木々の葉はそろそろ紅葉の準備に入るころですし、足下の草露は冷たいですけれど、目には楽しい時期といえそうです。さて、寒露を過ぎ、更に寒さが増して行けば、やがて冬がやってきます。冬は五行説では水気の季節。金気の秋が草の上に露を結ぶことを繰り返すと、やがて水気の冬が来る。古代の人々はこうして四季が交替して行くと考えたのでしょう。とっても単純な考えですけれど単純だからこそ、妙に納得出来るものがありますね。(「2020/10/08 号 (No.5122) 」の抜粋文)
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