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【萩・芽子】(はぎ) [日刊☆こよみのページ]

【萩・芽子】(はぎ)
 1.マメ科ハギ属の小低木の総称。高さ約1.5メートルに達し、叢生。
  枝を垂れるものもある。葉は複葉。夏から秋、紅紫色または白色の蝶形花
  を多数総状につけ、のち莢(さや)を結ぶ。種類が多い。観賞用、また、家畜の飼料。
  普通にはヤマハギ・ミヤギノハギを指す。秋の七草の一つ。胡枝花。
  秋の季語。万葉集15「秋の野をにほはす萩は咲けれども」
 2.襲かさねの色目。表は蘇芳(すおう)、裏は青。秋に用いる。
 3.紋所の名。ハギの葉・花・枝にかたどったもの。
   《広辞苑・第六版》

 大分秋らしくなってきましたので「萩」を取り上げてみました。秋の七草の一つで、季節を代表する花ですから。まずは萩の文字を漢和辞典で引いてみると
 【萩】
 《意味》
  {名詞}秋草の名。よもぎの一種。川岸の砂地や荒れ地に自生する。
  かわらにんじん。
 《日本語での特別な意味》
  はぎ。草の名。山野に自生する。初秋に紫紅色または白色の花をつける。
   《学研漢和大字典》

 とあります。「意味」の項にはよもぎの一種とあります。え?と思われた方もいらっしゃると思います。萩とよもぎでは共通点が見つかりません。どこをどう見てもよもぎではない。その「え?」に対する答えはわざわざ「日本語の特別な意味」と断って為されたその次の説明。初秋に紫紅色または白色の花をつけると、こちらは私たちが萩の花に抱くイメージのとおり。日本語の特別な意味と為されているのは、「萩」の文字は漢字の本家中国では日本の萩とは別の植物を指す文字だからです(日本の萩は中国では「胡枝花」と書いたそうです)。今は八月の末。萩の花盛りというにはちょっと早過ぎる気もしますけれど、そこここの人家の庭や野原に萩の花が咲く姿を見つけることが出来ようにはなりました。秋が深まるにしたがって、咲く花の数が増えて行く様子を楽しめることでしょう。萩の花には春の桜の花のような艶やかさはありませんが、花をつけた枝が朝露に濡れて弧を描くように頭を垂れる姿はなかなか美しいものです。今では秋の代表的な花とはいいながら、やや地味なイメージの萩の花ですが万葉の時代の人々には大変愛された花で、萩の花を読み込んだ歌が万葉集には142首もあり、万葉集第一の花となっています。また万葉集に詠われた「花見」の対象はこの萩(と早春の梅)だけだとか。きっと朝露に濡れた秋の野に馬を進めて萩の花を眺めたのでしょう。万葉の人々になったつもりで、馬に乗って早朝の萩の花見・・・と言うわけにはいきませんが、萩の咲く花の数がもう少し増えてきたら、早起きした朝には、散歩しながら萩の花見を楽しみたいと思っています。(なお「萩の花見」については、一年ほど前に暦のこぼれ話で取り上げたことがあります。興味のある方はそちらもあわせてお読み下さい。
萩の花見 → http://koyomi8.com/doc/mlwa/200709300.htm
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