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【あかまんま】(赤飯) [日刊☆こよみのページ]

【あかまんま】(赤飯)
 イヌタデの別称。あかのまんま。 《広辞苑・第七版》

 「イヌタデの別称」とありますので、広辞苑でさらに本名の「イヌタデ」を引いてみると、

 【いぬたで】(犬蓼)
  タデ科の一年草。山野に普通で、高さ約30センチメートル。葉の基部の鞘状の托葉が茎を囲む。
   夏から秋、葉腋と茎頂に紫紅色の小花が穂をなす。アカマンマ。アカノマンマ。
  「犬蓼の花」は秋の季語。 《広辞苑・第七版》

 とあります。イメージはわきましたか?秋になると田んぼの畦や野原、道ばたとどこででもよく見かける植物ですので、おそらく誰でも目にしたことがあると思います。「きれい」というより「かわいらしい」という言葉が似合うあかまんまです。粒々の赤い花をこそげ落とすと、その粒々が赤飯の赤い米の粒のように見ることから、子供のままごと遊びの食卓では、めでたい赤飯として扱われるあの草ですと云えば、ああなるほどと、うなずいてくださる方も多いのでは。今でこそ、どこででも見かける日本の野草の一つですが、このあかまんまことイヌタデは有史前に海を渡って渡来した植物なのだそうです(こうした植物を「史前帰化植物」と呼ぶそうです)。昔々に日本には無かったんですね。おそらく、日本に稲が渡来しときに、稲に混じってちゃっかりこのあかまんまの種も日本にやってきたのだろうと考えられています。今でもこの植物が深い山中などでより、人間の住む場所の近く、田んぼのあるような場所に多く見られるのは、この草がこうした来歴を持つ植物だからなのでしょう。遙かな昔、稲穂とともに海を渡ってやってきたあかまんまは、ままごと遊びの中で赤い米の飯、赤飯の代用として親しまれています。稲穂とともに初めて日本にやってきた日から二千年近い歳月(ひょっとしたら二千年以上?)を、あかまんまは稲と共に生きて来たわけです。あかまんまは、これからも一緒に海を渡った稲とともに、日本の秋を彩る草であり続けてくれることでしょう。

                         (「2022/10/13 号 (No.5857)」の抜粋文)
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