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「乃東枯る」の季節 [日刊☆こよみのページ]

□「乃東枯る」の季節
 今年は一昨日が夏至。一年で昼が一番長い日でした。さて、その夏至ですが、これはご存知の通り二十四節気の一つです。そしてその二十四節気をさらに細分化したものに七十二候というものがあります。七十二候は、日常目にする動植物の様子を採り上げたものが多くあります。動植物の育つ様子や行動によって季節の変化を示しているのです。夏至の日の七十二候は何かと見ると、乃東枯る(だいとう かるる)とあります。「日常目にする動植物の様子によって」と書いたばかりの七十二候の説明でしたが、この「乃東」っていったいなんでしょう?

◇乃東枯る(だいとう かるる)
 七十二候の中には、読んでもパッと意味がわからないものがあります。多分この「乃東枯る」もそんなパッと意味がわからないものの一つでしょう。乃東とは枯るということから、どうやら植物らしいことは見当がつきますがさてどんな植物なんでしょう?

◇乃東 = ウツボグサ(靫草)
 さて、この謎の乃東ですが、その正体はウツボグサ(靫草)です。ウツボグサは別名「夏枯草(カコソウ)」といいます。この別名をみれば、なるほど夏には枯れる草です。そう言われても名前だけではピンと来ない方は、写真を掲載して下さっているサイトが沢山ありますのでご覧下さい。紫色のきれいな花です。

   →http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/utubogusa.html

 みればなるほど。田舎で生まれ育った私は子供の頃から、日当たりのいい田んぼの畦や草地でこの花を毎年見ていましたので、確かになじみのある植物。ただし子供の頃にこの植物が「乃東(だいとう)」なんて呼ばれることは知りませんでしたけれど。この花の花期は 6-8月頃。それを過ぎると花は枯れ、黒色化しした花穂は夏枯草(かこそう)と呼ばれるようになります。夏の盛りで周囲の植物が青々と茂る中に花を終えて枯れてしまうように見えるため、この植物は夏枯草と呼ばれるようになったのでしょう。また、こんな風に他の植物とは違った季節変化をすることから物珍しく、七十二候に取り入れられたものと考えます。私の感覚からすると今はまだウツボグサが枯るにはちょっと早過ぎる時期のようにも思いますが、気の早いウツボグサはもう枯れているのかな?田んぼの畦道や、草地を散歩する贅沢が出来る方は、その足元にこの乃東が咲いている、あるいは枯れているかもしれません。注意してこの花を探してみてください。

                          (「2023/06/23 号 (No.6110) 」の抜粋文)
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