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七十二候の日数 [日刊☆こよみのページ]

□七十二候の日数
 「七十二候の『麦秋至る』の期間だけ、5/31~6/5と6日間あります。なぜでしょうか?」というお便りをいただきました。ちなみに、本日(2018/6/6)の暦を見ると

  二十四節気の「芒種」 (6/6 ~ 6/20)
  七十二候は「蟷螂生ず」 (6/6 ~ 6/10)

 とあります。後ろの()内はその期間を表しています。

◇七十二候と二十四節気の関係
 本題に入る前に、おさらいの意味で二十四節気と七十二候について改めて説明しておきましょう。二十四節気は一年を24の期間に分割したものです。どのようにして一年を分割するかによって二十四節気には二つの方式が有ります。一つは、一年の長さ(日数)を24等分する方式。この方式を「恒気法」(あるいは「平気法」)と云います。もう一つの方法としては、太陽が天球上を一年かけて 360°巡るその道筋(「黄道」といいます)を角度で24等分し、その等分された点を太陽が通過する日で区切る方式で、こちらは「定気法」と云います。現在使用されている二十四節気は江戸時代の終わり頃につくられた天保暦が採用した角度による分割法、「定気法」を踏襲して計算されています。七十二候は更にこの二十四節気の一つ一つを 3つに分割したものです。このため七十二候は「二十四節気の芒種の初候、次候、末候」のように表現することもあります。この方式で二十四節気の芒種の期間の各候を見ると

  初候 蟷螂生づ (6/6)
  次候 腐草蛍となる (6/11)
  末候 梅の実黄ばむ (6/16)

 という具合です。最後の()内はそれぞれの候の始まりの日です(こよみのページ計算値)。ご覧の通り、七十二候は二十四節気を更に 3分割したものですから七十二候が二十四節気を跨ぐことは有りません。そして二十四節気の長さがほぼ15日ですから、七十二候の一つの候の長さはほぼ 5日となります。七十二候は季節の移ろいを気象や動植物の成長・行動などを目安として表したものです。ただ七十二候の一候が 5日程度と短いですので、狭いようでも結構広い日本の南から北までの全ての地域の気候を的確に表現するというのは無理が有ります。また気候の変動はその年のお天気の具合によっても変化しますので、一つの地域でも年によっては現実とはそぐわないことも多いものです。あくまでも「目安」です。

◇七十二候の日付
 二十四節気の日付の計算は、スタンダードなものが有るのですが、七十二候の計算にはこれという決まりが有りません。単純に考えれば七十二候の一つの候の長さは大体 5日で、その初候は二十四節気の節入りの日と同じ日となりますから後は 5日毎に日を割り振ればよさそうです。大体はこの「単純」な方式で問題ないのですが、困ったことに二十四節気の一つ一つの期間は必ずしも15日では無いので、七十二候の長さも必ず 5日にはなりません。時々 5日ではなくて、 6日などになることが有ります(ごく希に 4日になってしまうこともあります)。初候から単純に 5日毎に区切り、過不足が出た場合は末候の長さで調整するという方法も有ります。どうやらこれが普通のやり方のようではありますがちょっと気になることが有ります。七十二候の元になる二十四節気が黄道を角度で24等分した「定気法」によって求められたものであるのに、その二十四節気を分割するところだけ日数による分割(一種の恒気法)によるのでは、平仄が合わない。これが気になるところです。所詮目安なんだから、いいじゃないか。それくらいは。という気もしないわけではありませんが、こよみのページでは少々面倒ですが七十二候の日付を二十四節気の計算方式と同じく角度による分割法、定気法によって計算することにしています。その結果どうなるかというと、今年の場合は芒種の一つ前の二十四節気、小満の間の七十二候が

  初候 蚕起きて桑を食う (5/21)・・・ 5日間
  次候 紅花栄う (5/26)・・・ 5日間
  末候 麦秋至る (5/31) ・・・ 6日間

 という具合に、末候だけが 6日間になっています。「あれ、ここだけ 5日じゃない。間違ってる」ってことでは無いのです。ただこの計算方式をみんなが使っているかというと、さて?単純に初候から 5日ずつに割り振った方式の方が有力かな・・・。今回の場合は、末候が6日なので、単純に5日ずつ割り振って、最後で帳尻を合わせる、恒気法的計算でも結果は同じですが、中身は違ってます!(←この辺りは、こよみのページの拘りでございました)。ということで、冒頭のご質問の『麦秋至る』の期間が6日間なのは、計算違いじゃございませんので、御安心ください。(「2018/06/06 号 (No.4267) 」の抜粋文)
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