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【忘れ花】(わすればな) [日刊☆こよみのページ]

【忘れ花】(わすればな)
 忘れ咲きの花。時節がすぎてから咲く花、また返り咲きの花。冬の季語。《広辞苑・第六版》

「ここ数日、散歩道で藤の房が薄紫の花を咲かせ始めています。今頃でも藤の花は咲くものでしょうか?」こんなメールをいただいたことがあります。メールをいただいた日付は7月の下旬のもの。藤の花の咲く時期といえば大体4~5月頃ですから、だいぶ季節に遅れて咲いた藤の花のようです。花にも人間同様、他のものよりのんびりしているものが有るようです。7月も後半に咲き始めるとすると「多少」ではなくて随分なのんびり屋ですけれども。こうした花は狂い咲きと言って片づけてしまってもよいのですが、たまに花の時期がおかしくなるというのではなくて、来る年も来る年もずっと他の花と違った時期に咲く変わり者の木もあるのでしょう。そうした木がいつもの年のように他と違った時期に花を付けたのだとしたら、それが常態で狂い咲きではないのかも。そんなときに、使う言葉としてこの「忘れ花」なんて言う言葉はいかがでしょうか? 仲間たちの花は散ってしまって、みんなが忘れた頃に花を付けるそんな変わり者の木があってもよさそうな気がします。(「2020/07/26 号 (No.5048) 」の抜粋文)

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暦の上の梅雨明け [日刊☆こよみのページ]

□暦の上の梅雨明け
 梅雨に入ってそろそろ一月近く。今朝も東京は雨で始まる一日ですが、そろそろ梅雨が明ける時期かなと云うことで本日は「暦の上の梅雨明けの日」について書いてみることにしました。

◇暦の上での「出梅」
 暦の上には暦と季節の動きを結びつける季節点が幾つもあります。有名なところは、二十四節気がそれです。梅雨に関わるものとしては、梅雨入りを示す「入梅」も暦の上の大切な季節点の1つとなっています。ここで気になるのは、梅雨入りを示す「入梅」があるならこれと対となる梅雨明けを示す言葉はないのかということ。ありますよ、もちろん。「入梅」の反対ですからそれは「出梅」。あるにはありますが、あまり一般的ではないですね。現在でも「入梅」の方は暦の上の雑節として採り上げられることがあるのですが、残念なことに「出梅」の方は、何処かに置き忘れられてしまったようで、暦の上から姿を消してしまっています。なぜだろうかな?入梅を始めとした季節点の多くは、現在は太陽の黄道上の位置で決められています。例えば「入梅は太陽の視黄経が80度となる日」と云った具合です。昔は、二十四節気との関係で表すことが多く、「入梅は『芒種』以後の最初の壬(みずのえ)の日」のように決められていました。二十四節気は太陽の位置に基づいて決定されているものですので、二十四節気を基準にすると云うことは、間接的に太陽の位置から求めていると云うことが出来ます。「最初の壬(水の兄)の日」辺りには、梅雨だから水の気と関係が有るに違いないという、五行説の考えが垣間見えます。さて、「出梅の話」なのに入梅の話ばかりしておりますが、それは既に書いたとおり、出梅は入梅に比べるとあまりぱっとせず、定義もはっきりしないからです。入梅は太陽視黄経が80度の日とされているのですが、出梅はというと、はっきりした定義は無さそうです。入梅があって出梅がないというのもバランスの悪い話ですので、何か手がかりはないかというと、昔の出梅の定義が有りました。それは、「出梅は『小暑』以後の最初の壬の日」と云うものです。入梅が芒種以後の最初の壬の日でしたから、出梅が小暑以後の最初の壬の日というのは、なかなか判りやすい。後半の「最初の壬の日」のために年ごとの入梅や出梅の日の太陽視黄経は同じ値にはならなくなってしまいますが、それでも平均すると入梅はだいたい現在の定義である太陽視黄経80度あたりとなります。出梅もこれと同じ規則だと考えれば、「小暑以後の最初の壬の日」の太陽視黄経は平均すると 110度程になります。これを現代の暦の上の出梅の定義だと考えて、この日を計算してみると、

  2020年の太陽視黄経が 110度となる日 → 7/12

 となります。あと3日ですね。ちなみに、古式ゆかしく「小暑以後の最初の壬の日」を計算すると、それは7/8。こっちは、昨日。昨日気がついていれば古式に則った「出梅」の日を目出度くお伝え出来たのに。気づくのが遅かった。残念。

◇今年の出梅の日
 西日本、特に九州では今年は豪雨による被害が相次いでいます。梅雨明け近くになるとこうした豪雨被害が出やすい天気となるそうなのですが、今年は多くの死者を出すほどの被害が出てしまっています。もうこれ以上災害を引き起こさないうちに、雨の季節が終わってくれないかなと思うかわうそでした。(「2020/07/08 号 (No.5031) 」の抜粋文)
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七夕と雨 [日刊☆こよみのページ]

□七夕と雨
 明日は七月七日。七月七日の七夕の夜は牽牛と織女が一年に一度、逢うことを許された夜。晴れた空には、彦星(牽牛)と織姫星が天の川の両岸で輝いています。しかし、星が輝く様を隠してしまうのが雲、そして雨。星祭りの性格をもつ七夕の時期には、星の輝きをじゃまする雨に特別な名前がつけられています。

◇洗車雨(せんしゃう)
 七月六日に降る雨です。七月七日に降る雨だとされることもあります。一年に一度、織女と会うために牽牛がせっせとその牛車を洗う水が雨となって降り注ぐのがこの雨の元です。

◇洒涙雨(さいるいう)
 七月七日に降る雨。催涙雨(さいるいう)とか七夕雨(たなばたあめ)ともいいます。牽牛と織女が一年一度の逢瀬の後で、再び別れ別れとなる際に流す惜別の涙が雨となって地上に達するのが、洒涙雨だと云われます。一説には、七夕の夜に雲のため逢瀬が適わない二人が流す悲しみの涙とも云われます。

◇七夕流し(たなばた ながし)
 七夕の夜を台無しにしてしまう長雨のことを、七夕流しといいます。旧暦の七夕(2020年の旧暦の七月七日は新暦の8/25)は、梅雨明け後の晩夏から初秋の行事でしたから、晴れることが多かったと思われますが、新暦の日付で祝う七夕だと、その時期は雨の季節、梅雨のまっただ中。「七夕流し」の長雨が降り続いている可能性が高いですね。この記事を書きながら窓の外を見ると、外は雨(それもすごい勢い)。天気予報をみても、今日の東京は一日雨のようです。はたして明日の七夕本番の夜はどうなっていますことか。

  雨降りて願いの糸のあはれなり (村上鬼城)

 牽牛と織姫の願い適って、今朝の雨が明日まで降り続くことがありませんように祈ることにいたしましょう。今朝の雨が、浮き浮きと牛車お洗う牽牛の降らせる雨で、明日の夜はピカピカになった牛車で織姫様と彦星様が会えますように。(「2020/07/06 号 (No.5028) 」の抜粋文)
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