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【木の芽雨】(きのめあめ) [日刊☆こよみのページ]

【木の芽雨】(きのめあめ)
 春、木の芽どきに降る雨で、その成長を助ける雨。徳島県では、「木の芽起し」「木の芽萌やし」、長崎県北松浦郡・鹿児島県肝属郡では「木の芽流し」などという。《雨の名前(小学館)から抜粋》

 二月の末の頃から三月の始めの頃になると、寒の戻りがあるとはいえ、季節は春と感じる日が増えてきます。そんな時節に降る雨が木の芽雨です。冬の間、身を固くして寒さに堪えていた木の芽の芽吹きをうながす雨です。東北の田舎育ちでしたので、遊び場は田んぼのあぜ道や河原や里山。木の芽雨の降る頃は、どの遊び場にいても「土の匂い」を感じました。土の匂いは、温かくてどこか湿った匂い。香りとも臭気とも違う、匂いではない匂い。巧く言えませんが、匂いと云うより気配といった類のものだったように思います。あの土の匂いの中に感じた「温かくてどこか湿った」ものは、この時期に降る木の芽雨のもたらした温かい湿りだったのでしょう。私が土の匂いを感じる頃になると、田んぼの畦には蕗の薹が顔を出し、河原では葦の若芽が姿を見せ、里山では蕨(わらび)や薇(ぜんまい)が頭をもたげ始めました。今週は久々に傘のご厄介になりました。雨に濡れればもちろん冷たくはあるのですが、だからといって寒い感じはありませんでした。もう冬の雨ではないのですね。(「2021/03/05 号 (No.5270) 」の抜粋文)
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