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【菜の花】 (なのはな) [日刊☆こよみのページ]

【菜の花】 (なのはな)
 アブラナの花。また、アブラナ。春の季語。続明烏「菜の花や月は東に日は西に」(蕪村)。「菜の花畑」 《広辞苑・第六版》

 ととりつく島も無いような記述は広辞苑の解説より。日本の春の代表的な風景を選んだとしたら、一面に広がる菜の花畑の眺めはその中に必ずくわえられるもののはずです。一本だけ切り取って花瓶に飾ったとしても、菜の花はあまり見栄えのする花ではありませんが、一面を埋め尽くすような菜の花畑の眺めは春の日本の原風景と言っても過言では無いでしょう。菜の花は平安時代中期には渡来していたと言われますが、江戸時代に入ったころになると、その種から得られる油の需要が大きくなったことから、大量に栽培されるようになったものだそうです。日本における菜の花畑の風景の誕生と言えるでしょう。「日本の原風景」と思っている風景は、昔からただそこにあった風景ではなく、人々との関わりの中で生み出されて来た風景だったのです。日本の風景、日本の春、そうしたものは、ただただ在るものを残していけば良いというものではなく、それぞれの時代に生きるものが生み育ててゆくものなのだと言うことを菜の花の風景は教えてくれているようです。(「2021/03/06 号 (No.5271) 」の抜粋文)
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