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菜虫蝶と化す [日刊☆こよみのページ]

□菜虫蝶と化す
 3/15~3/19(2020年の日付)は、七十二候の「菜虫蝶と化す」の期間です。「菜虫(なむし)蝶と化す」は二十四節気の啓蟄の末候。地中から虫たちが姿を現し始める啓蟄の期間の終わりには、地中から姿を現した虫が、蝶になってゆくのですね。もっとも、蝶にかわる青虫などは土から出てくるわけではありませんけれど。この間の日曜日に、車を走らせていたら、道路わきの畑が黄色に染まっていました。菜の花畑です。もう菜の花の季節なんですね。私の子供時代の記憶からすると、蝶がひらひらと舞う季節というのはもう少し先のような気もしますが、菜の花も咲いているとなれば、早起きで働き者の虫はもう蝶となって、菜の花畑を飛び回っているのかも知れません。

◇夢見鳥(ゆめみどり)
 菜虫から姿を変えた蝶は、またの名を「夢見鳥」ともいいます。「夢見鳥」の名は、荘周胡蝶の夢の故事に由来します。昔、荘周(荘子)が夢の中で蝶となり、花と花の間を楽しく飛び回った。蝶となって花々の間を飛び回っている間、荘周は蝶そのものであって、人間の荘周が夢で見た存在だとは思いもしなかった。夢から覚めて、荘周は自分が人間であったと思い出したが、そこでふと疑問が湧いた。夢の中で蝶であったとき、自分は蝶そのもので、人間の夢の中の存在だなととは露ほども思わなかった。今、夢から覚めた自分は人間だと思っているが、それは本当だろうか。もしかしたら、人間荘周だと思っている自分は、蝶の見た夢の中の存在なのかも知れないと。辛いことも楽しいこともありながら、 1/2世紀以上も生きてきたと思っている私の人生も、もしかしたら菜の花にとまって、ウトウトしている蝶の見た長い夢なのかも知れません(鳥に食べられないよう注意しないと?)。

◇「菜虫蝶と化す」時期は?
 七十二候の「菜虫蝶と化す」の期間は、今年は3/15~3/19の間ですが、実際の蝶と化す時期は?1995年に出版された「気候図ものがたり」という本に、気象庁のモンシロチョウの初見の日付が書かれています。その日付によれば、

  鹿児島 3/6 , 福岡 3/16 , 高知 3/8 , 鳥取 3/25 , 広島 3/17 ,大阪 3/31 , 京都 3/26 , 名古屋 3/27 ,   長野 4/3 , 前橋 3/30 ,新潟 4/9 , 仙台 4/5 , 青森 4/22 , 札幌 4/26

 だとか。なるほど、七十二候の「菜虫蝶と化す」の日付は、実際の蝶(ここではモンシロチョウ)の初見の日付と合致しているといってもよさそうです。

◇暦の上の季節感と個人の季節感
 先に、個人的体験では蝶がひらひら舞う季節というのはもう少し先のような気がしますとしましたが、私の生まれは福島県ですので、それに近い仙台のモンシロチョウの初見の日を見ると、 4/5。暦の「菜虫蝶と化す」の時期と、私の感覚がずれているのは、私の感覚が子供時代を過ごした東北の気候にあわせて形作られたものだからのようです。みなさんの感覚での蝶の舞う季節は、七十二候の「菜虫蝶と化す」と合致していますか?(「2020/03/18 号 (No.4918)」の抜粋文)
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