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葭始めて生ず [日刊☆こよみのページ]

□葭始めて生ず(七十二候 十六候)
 昨日から、七十二候の「葭(あし)始めて生ず」の候に入りました。「葭始めて生ず」の期間は今年(2020年)は4/19~4/24です。この言葉に登場する「葭」は、葦、蘆とも書きます。また「あし」は「悪し」を連想させるということから「よし」と転じて読むこともあります。私に関して言えば、子供の頃に最初に憶えたこの植物の名前は「よし」でした。ちょっと大きくなって、「あし」とも言うことが分かって、どっちなの?と一時期は混乱したことを思い出しました。子供の頃の話が出たので思い出話を一つ。子供の頃に住んでいた家のすぐ近くに、川がありました。その河原は私のよい遊び場で、沢山の葭が生えておりました。この遊び場で今の時期に目立つのは、川の水が運んで来た黒々とした土の間や川面から顔をのぞかす葭の新芽。細身の筍のような先の尖った葭の新芽が沢山姿を見せるようになると、冷たかった川の水がいくらか温んだことに気がつくようになりました。この子供の頃に見慣れた葭の新芽を指す「葦牙(あしかび)」という言葉があります。軟らかい土を、水面を突き破るように伸びる葭の新芽の姿を牙に見立てた言葉で、春の季語にもなっています。日本は「葦原の国」とも呼ばれた国ですから、きっとそこかしこに私が見ていた葦牙が土を、水面を突き破る風景が拡がっていたのでしょう。鋭い葦の牙は、春の尖兵として冬の寒気を切り裂き、突き破ってゆくようです。葦牙を目にするところ、春の軍勢在り。日一日と、春はその勢力を伸ばし、北へ北へと進軍して行きます。本日は、春の進軍の様子を思い起こさせてくれる「葭始めて生ず」の時候。進軍する春の軍勢が、寒気と共に現在世界に拡がっている悪い気も追い払ってくれるといいなと思う、川辺育ちのかわうそでした。(「2020/04/20 号 (No.4951) 」の抜粋文)
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